miletが語る現在までの集大成、坂本龍一からの学び、愛の言葉と心の支え

新境地とmiletらしさ

ー先ほど話に出た「Grab the air」「STAY」「Dome」と新曲が続く8〜10曲目の流れ、ここもたまらないですね。

milet:やった(笑)。

ーまず「Grab the air」はMAN WITH A MISSIONのKamikaze Boyさんが楽曲提供&プロデュースで、中野雅之さん(BOOM BOOM SATELLITES)がアレンジとエンジニアリングを担当。

milet:「ぜひ曲を書いてください!」とお願いして、素晴らしい環境でレコーディングすることができました。自分の曲とはまるで違う気持ちで挑みましたね。

ーパワフルで爽快感に満ちていて、miletさんのまた違う一面を見せてもらった気がします。

milet:私のなかで、去年参加させていただいたマンウィズさんの「Reiwa」と「Grab the air」は繋がっていて。色や空気感、音の広がりに少なからず重なるものがある気がするんですよね。自分の声の逞しいところが前面に出た曲になりました。



ー「Reiwa」のときはハーモニーを歌うのが大変だったと以前話してましたが、今回はどうでしたか?

milet:単純に曲が難しくて……レコーディング当日までかなり悩みましたね。「もう無理、半音下げていい?」って考えたりもしたけど、当たって砕けろの精神で歌いきりました。大好きなKamikazeさんや中野さんが見てると思ったらハリキッちゃって。やればできる。

ーあの突き抜けたサビは、たしかに歌うのが大変そう。

milet:いやー難しい。マンウィズさんの歌がドラマティックなのは、この曲みたいに高音から低音までレンジが広いから。そこが強さでもあるし、声の張り方もやっぱりロックバンドだなって。作詞や歌い方は委ねられていたので、私もマンウィズさんの一員になったつもりで、この曲が持つ力を引き出そうとがんばりました。

ーそこからさらに、軽快でポジティブな「STAY」に続くという。

milet:「STAY」は最初から明るい曲を作ろうと思って。サビの頭で歌ってる「フーッフッフー」というフレーズができた瞬間、このメロディが曲の顔になると確信しました。その子に引きずられて他のメロディも明るくなったし、歌詞も前向きなものになりましたね。“今だけの瞬間に生きていたい”とか……私、こんなことも考えてるんだって(笑)。



ーその前の2曲から一転、「Dome」は随分ヘヴィな曲ですね。歌い出しから“ここは天国? それとも終わりのない悪夢?”っていう。

milet:「今日はフリータイム、好きなもの作っていいよ」と言われたので、「えー嬉しい、すっごい暗いの作ろうよ!」って、ワクワクしながら沼に潜り込んでいった曲で(笑)。みんなもニヤニヤしながら「これぞmiletでしょ」みたいな感じで、完成したときも歓喜の渦に包まれました。

ーそのときの光景が目に浮かびますよ(笑)。

milet:「Dome」はこの単語一つで曲になりそうだと思ったんですよね。「Do(ドー)」の濁音が重さや暗さを表していて、「me(ム)」は私のなかでファンタジーっぽいイメージ。だから「Dome」には、暗い地獄のなかに気持ち悪いハピネスが閉じ込められている……そんなふうに想像してみたら、この単語が頭から離れなくなって。歌詞も含めて気に入ってる曲です。



ーそんなふうに、言葉の響きからインスピレーションを得ることもあるんですね。

milet:最初の頃は英語で作ってから日本語を置き換えたり、英語の詞をもとに日本語で韻を踏んだりしていたんですけど、そこにこだわるのも飽きてしまって。最近は母音だけ先に決めて、そこに上手くハマる子音を探していくような作り方も試しています。本当に感覚的なんですけど、か行だったら尖った感じ、さ行は軽くてエアリーで、ま行はさっき言ったようにファンタジーみたいな雰囲気。それをパズルのように当てはめていくことで、曲の表情が変わっていくのが面白いんですよね。

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