PassCode南菜生が語る、アイドルとバンドの狭間で切り開いた独自性

ツアー初日前に感じた葛藤

―そうやって自分を制御できるのは人として成長したからなんでしょうね。だって、やちいさんがどっしりしていなきゃいけない状況って前から変わらないと思うんですよ。だけど、今はPassCodeのメンバーとして自分がどう動くべきなのかがより明確に見えているんだなと今の話を聞いて思いました。

そうですね。自分が思ってる以上にメンバーもスタッフも自分のことを信用してくれてるんだなって。なので、「どうしたらいい?」っていう話を振ってもらえることが多くなった分、自分の感情だけで物事を動かさないほうがいいっていうことはここ2年ぐらいで考えるようになりました。自分の感情よりも優先すべきことが見えてきた。

―以前はもっと肩に力が入っていたし、焦りがもろに表に出ていたと思うんですよね。

ZENITH TOUR(「PassCode ZENITH TOUR 2017」)の頃はまだ割り切れないものがあったんですよ。「でも、本当はこういうふうに思ってるのに」って。でも、去年のZeppツアーが終わったぐらいから、自分がやりたいことよりもPassCodeのことが大事やなと思うようになって。自分の意見よりもPassCodeがどう見えるのかとか……PassCodeの立ち位置について考えるようになりました。

―それは何かきっかけがあったんですか。

メンバー4人で一緒にいると……これはお互いにあることなんですけど、「これは許せるけどこれは許せない」っていうところが各々にあって。でも、「自分がどう思うかよりもPassCodeのほうが大事やな」って思うとオールOKになるんですよ。だから、PassCodeの南菜生じゃなかったら許せないことも、PassCodeの南菜生だから全部許せる。そう思えるところまできているし、PassCodeが上手く回ることを優先すべきだと今は思ってます。

―そのせいなのかはわからないですけど、チームPassCodeの団結力が上がってる気がするんです。

いろんなことをみんなで乗り越えてきてるんで、それは確実にあると思います。

【画像】PassCodeアーティスト写真(2点)

―去年はZeppツアーのあと、秋から今年1月にかけて行われた「PassCode CLARITY Plus Tour 19-20」が行われました。このツアーはいかがでしたか。

長いツアーが始まる前はいつもそうなんですけど、どういうふうにこのツアーを回れるのか本当にわからなくて、初日のマイナビBLITZ⾚坂公演を迎えるまで不安のほうが大きかったんですよ。初日が上手くできるとそのあとも上手に回れるんだけど、逆にそこでグダっとなっちゃうとずっと辛いツアーになるっていうことがわかってたから、なおさらプレッシャーでした。でも、本番ではこれからどういうライブをしていくべきかというのが見えるパフォーマンスができて、それが自分のなかで大きかったので、「不安に思ってたけど大丈夫かもな」って思えました。



―そんな葛藤があったんですね。

それ以降はいい日も悪い日もあったけど、例年のツアーよりはスムーズに回れた感覚がありました。で、ツアーファイナルの新木場Studio Coast公演が2日間あったんですけど、2016年12月28日にやったPaassCodeメジャー初ツアーのファイナルが同じ会場で、全然お客さんが入らなくて。その年の8月に初めてバンドセットのライブを経験して、そのときは「バンドよりも音源のライブのほうがいい!」って思ってたんですけど、そこから半年かけて「これがベストな形なんや!」って胸を張れるライブができたんです。ただ、会場を埋められなかったことが唯一の心残りとしてあったので、あれから3年かけて2日間ともソールドアウトさせることができたことが、グループとしても自分としても大きくて。

―わかります。

だからこそいいライブをしたい、成長した姿を見せたいっていう気持ちがあったんですけど、1日目は上手にライブが出来なくて、ライブが終わった時点では「ああ、どうしたらいいんだろう。困難を乗り越えたと思ったけど、また同じことの繰り返しになるのかな」っていう不安のほうが大きくなってしまって。もう、夜も眠れないぐらい。「明日はどうするべきなんだろう」「何を話せばいいんだろう」「1日目と同じようになったとき、自分がどう対処したらお客さんに『観に来てよかった』と思ってもらえるんだろう」「どうしたらこれからも観たいって思ってもらえるようなグループでいられるんだろう」とか、そんなことばっか考えて2日目を迎えて。

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