パンデミックの最中、ママ友との密会は許されるか?

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ロックダウンに入って約2カ月半が経過した頃、米ニューヨーク・ブルックリン在住の39歳のミランダ(仮名)は友人の1人から、幼い子供と家に2人きりでストレスがたまっている、という旨のメールを受け取った。

「メールで彼女は『もう感染増加は収まったと思うの、内緒で子供たちを一緒に遊ばせない?』と言いました」とミランダは振り返る。ただし、その誘いにはこんな注意書きが添えられていた。「冷たい目で見られるから、誰にも言っちゃだめよ」。友人は地下室を通って裏庭に出れば室内感染の危険も減らせ、近隣住民の目を逃れることも出来るだろう、とまで言った。

ミランダは友人の誘いに驚いたが、同時に惹かれもしたそうだ。友人宅には広い庭があり、遊び場や走り回れる広いスペースもある。そして何より、3歳になるミランダの娘は何カ月も外に出られず、同い年の子供たちと遊びたくてたまらなかった。結局ミランダは誘いを断ったが、Instagramで他の友人が子供たちを遊ばせている写真を投稿していたのは前から知っており、こうした行為が決して珍しくないことも承知していた。「本来はみんな家にいて、何もせず、誰とも会わないことになっています」と彼女は言う。「でもみんなやっています。誰も言わないだけです」

全米各州が徐々に封鎖を解除している中、ニューヨーク市のような新型コロナウイルス感染者の特に多い地域では大部分が未だロックダウン中で、数百万人もの人々が狭いアパートに閉じ込められている。フルタイムの仕事をこなすと同時に、子供の勉強やその他の面倒を見なければならない親にとっては特に厳しい状況だ。学校も公園も当面の間閉鎖されているため、一部の親はプレッシャーに耐え切れず、子供同士の密会を計画しているというわけだ。

会わせていることを堂々と公言して、ロックダウンに対する政治的意見を主張している親もいる。ウィスコンシンのとある親は自分の娘を友達と遊ばせようとしたが、警察から自宅待機命令違反だと「脅された」と苦情を訴え、話題になった。だが、同じように考えている親の大半は、どちらの家族も決して公言しないという暗黙の了解があるのを条件に、来る日も来る日も幼い子供と家にいるストレスからほんの少し解放されたいだけなのだ。

Translated by Akiko Kato

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