100人に1人という身近な病気 統合失調症を改めて理解する必要性

統合失調症は、100人に1人が発症するという実はとても身近な病気で、妄想や幻覚、まとまりのない発語、ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動(固まったり同じ行動を繰り返したり等)、陰性症状(意欲の欠如、情動表出の減少)などが発生します。ハウス加賀谷さんの場合は、中学生の時に後ろの方から「臭い」という声がするようになり、席が一番後ろで背後に誰もいない時でもその声が後ろから聞こえてきたといいます。『ボクには世界がこう見えていたー統合失調症闘病記』(小林和彦著・新潮社)には「すれ違う人が皆、僕に殺意を持っているような気がして、『殺さないでください、殺さないでください』と会う人会う人に頼みながら歩いて行った」と、著者の小林和彦さんの、生々しい妄想の実体験が書かれています。

「わたし中学生から統合失調症やってます。」(ともよ著・合同出版)での成重竜一郎医師の解説によると、統合失調症は「脳が感じ過ぎてしまう病気」です。脳は日常的に膨大な情報や思考を処理していますが、通常はそれらの多くは意識されず、必要なものだけを処理します。ところが統合失調症にかかると、原因は不明ですが、このシステムとバランスに不具合が生じ、普段であれば不要だとみなされる情報や思考が意識され、その辻褄を合わせるために脳が勝手に意味づけをしてしまい、幻覚や妄想が生じます。また、処理しなければならない情報が多すぎる状態が続くと、興奮し過ぎた脳は疲弊し、徐々に機能が低下してきて「集中できない」「活動性が下がる」「感情の表出が乏しくなる」などの症状が出てきてしまいます。

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