日本のポップミュージックそのものが松田聖子なのではないか? 1990〜テン年代の10曲



2000年というのは彼女のデビュー20周年でもありますね。その記念シングルがこの曲で50枚目です。作詞が彼女自身ですね、歌詞の中に歌のタイトルや色々なフレーズが入っております。彼女が自分で自分の20年をこんな風に歌にしたという一曲ですね。さっきもお話しましたが、1990年代をあれだけ冒険的に終えたメジャーの女性アーティストっているかなあって思っていまして。日本だけでなく、海外にもあんなにアグレッシブに関わろうとした。それで考えると、1990年代の最強の女性アーティストだったかもしれないなあと思ったりもしますね。もちろん1990年代を代表した女性アーティストはたくさんいますが、こんな風に誰もやっていないことをやろうとした人はいたかな? ということでこの後もそういう話を続けようと思います。



2000年6月発売のアルバム『area62』から「Just For Tonight」ですね。この曲はロビー・ネビルのプロデュースで曲も書かれていますね。1990年のアルバム『Seiko』、そして1996年のアルバム『WAS IT THE FUTURE』、その2枚に続く3枚目の世界発売。この曲はアメリカのチャート雑誌『Billboard』のダンスチャートで12位だった。もう一曲シングルカットされた『all to you』は15位だったんです。クラブチャートですよ。しかも『all to you』は、作詞作曲も彼女が関わったりしているわけで。こうやって長いキャリアが日本でありながら、40代に入ってアメリカのクラブチャートでランクインしているということを、僕らはどこまでちゃんと受け止めていたのかという反省ですね。先週、今週は本当に反省ばかりしております。こういう言い方をすると語弊はありますが、日本の音楽業界は村なんです。狭いんです。自分たちの知っている音楽、知っている顔ぶれ、知っている知識で物事が動いていることもあって、そこから外れた人たちに対して優しくないです。海外に出ていった人は日本の音楽ファンもそうですし、洋楽のファンからもどこか白い目で見られたりということを経験しながら向こうで戦ったりしている。その中で、女性アイドルでありながらこれをやっているということが、彼女がどれほどのストレスを抱えながらやっていたのかなと。これだけの野心、野望、上昇志向は立派としか言いようがないなと思ったりしています。2010年代に入って、再び日本での活動が活発し始めたように見えた時期の曲をお聴きいただきます。2011年のシングル『特別な恋人』。

Rolling Stone Japan 編集部

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