コロナ陰謀論を叫ぶ動画投稿、TikTokで何十万回も再生

Photo Illustration by Avishek Das/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

手術着姿の女性が踊る中、画面上には「コロナウイルス死者数には、検査を受けられなかった人も加算されている」「ウイルスの脅威は専門家の予想に到底及ばない」といった言葉が現れる。

別のTikTokではヒョウ柄プリントのビキニ姿で登場し、キャプションには「us6506148b2でググれ」と書かれている。陰謀論者がよく引き合いに出す「マインドコントロール特許」と言われるものだ。最近では反ワクチン派たちもこれに便乗し、新型コロナウイルスワクチンへの先制攻撃を仕掛けている。

こうした動画は、同プラットフォームに投稿されたCOVID-19関連の陰謀論コンテンツのごく一部。中には数十万回再生されているものもある。この数カ月、パンデミックにより世界中で何十万人もの人々が命を落としている中、各種ソーシャルメディアはコロナウイルスに関する誤情報の蔓延を野放しにしていると激しく非難されている。以前ローリングストーン誌も、反ワクチン派として有名なアニー・ブカチェク医師が登場する、新型コロナウイルスによる死者数が水増しされていると誤った主張を繰り返し、YouTubeでは数百万回再生され、FacebookやTwitterでも多くの人々にシェアされた動画について報じた。5月には、「マスクを着用すると新型コロナウイルス感染率が上がる」という根拠のない持論を主張する堕ちた研究者、ジョディ・ミコヴィッツ氏を取り上げたドキュメンタリー『Plandemic』がFacebookやYouTubeで拡散され、両プラットフォームはたちまち非難の集中砲火を浴びた(両社とも最終的に動画を削除したが、動画のコピーはシェアされ続けている)。

この話題において、TikTokは監視の目や規制を免れている。先月イギリスで大手ソーシャルメディア企業の代表者と議員らが会合を開き、各プラットフォームの誤情報対策について話し合いが行なわれた――が、その場にTikTokはいなかった。人気のダンス動画を上げるだけのプラットフォームで、情報発信者として重要視されていないからだ。しかし、それゆえに一層危険となりうる。

「このようなオンラインコンテンツのスタイルや雰囲気には、陰謀論の感情に訴える側面を助長しているという問題があります」と言うのは、メディア研究を専門とするモナシュ大学のマーク・アンドレヴィッチ教授。「陰謀論というものは、熟考する環境では広まりません。筋が通っていない、ただの感情論だからです。なので、すぐにヒットし、拡散されるプラットフォームに非常に適しています」

Translated by Akiko Kato

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