starRoと手島将彦が語る 米国での経験をもとに考える音楽家のメンタルヘルス

Zoomで対談を行なった手島将彦(上)と音楽プロデューサーのstarRo(下)


ーstarRoさん自身もそういうズレを感じられたことはありましたか?

starRo:アメリカで音楽活動をしていた時、僕のマネージャーもメンタルヘルスに関心がある人だったんです。でも、マネージャーも、本当は僕がどういうアーティストで何を求めているのか分からなかったし、僕自身もどうしたらいいのか分からなかった。マネージメントの立場の人は、アーティストを売れさせたい、大きな舞台に持っていきたいと少なからず思うし、僕自身もそれに応えなきゃいけないと思って一生懸命やっていたけど、僕は音楽を通しての目標がそもそも大きな舞台に立つことじゃなかった。マネージメントの向かっている方向と僕の方向がズレてしまったんですよ。



手島:今の話とさっきのトライブの話で連想したんですけど、種族が違えば言語って違うじゃないですか? 文法とか文字の話だけじゃなくて、自分が使う言葉に伴っている認識、カルチャーが相手と違うんですよね。その違いを踏まえないと、コミュニケーションが噛み合わない。問題は、一方のカルチャーに合わせるということでもなくて、そういう違いが元々あるんだという意識がないこと。自分の言葉は通じていると思ってしまうことが良くない。それに気づければ、コミュニケーションの仕方が変わるかもしれない。ビジネスの話や先入観でこうあるべきっていうモデルに合わせていこうとするから、おかしなことになっている感じがします。

starRo:それぞれが異なる中で上手くやっていくには、性悪説も大事だと思うんです。バンドでも、時間が経つとお互いやりたいことが変わってくるし、エゴも出て仲違いするかもしれないってことを前提に考えられたら、「あいつは俺とは違う形で欲が出ているんだ」と理解できる。性善説を前提にすると、なんで練習にちゃんと来ないんだとか、自分の信じる善を他人に押し付けたりしてしまうので、それが理解されず自分が傷ついてしまうことにもなる。何でもネガティブに捉えろっていうことではないんですけど、人間って弱い生き物だってことは認めないといけないと思います。

手島:「人は弱い」ということで言うと、自己肯定感という言葉が間違って受け取られている節があるんです。自信を持つということは大切なことなんですけど、自己肯定感というのは何も「自分はすごい」と思いこんだり、とにかく弱点や苦手を克服するようなことではなくて、弱い部分も含めてそれが自分だと認めることで、もし他人と比較して足りないと感じる部分があっても、それも自分であるということを認めることが必要なんです。その人がありのままであるということが第一に大事で、その前提を考えないと、生きていく中での歪みが生じるんですよね。

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