starRoと手島将彦が語る 米国での経験をもとに考える音楽家のメンタルヘルス

Zoomで対談を行なった手島将彦(上)と音楽プロデューサーのstarRo(下)


―starRoさんは、アーティストのメンタルヘルスや働き方について積極的に意見を表明されています。こうしたテーマに関心を持ったきっかけはなんだったのでしょう?

starRo:昔から心とか心理学には関心があって、大学で勉強したり本を読んだりしていました。大学を卒業してから17年間ほど会社員をしていたんですけど、会社の中で自分が置かれている環境に対して「なんでこんなに苦しいんだろう?」と思ったときがあって。メンタルが強くなったらビジネスマンとしてもっと成功できるんじゃないか? と思って、メンタルについての本を読んだりもしていました。その後、31、2歳くらいの時にアメリカに移住して音楽活動をしはじめたんですけど、アメリカではメンタルヘルスの問題も一般市民にも浸透していることもあり、生活を通して子供に対するコミュニケーションなども学んだりしたんです。同時に、自分自身が心理学やメンタルヘルスの部分で、患者の一人としての辛さを感じたのは音楽を始めてからでしたね。



―創作活動を含め、アーティスト活動には不安やプレッシャーが付き纏うものなんでしょうか?

starRo:アーティストがメンタルで弱るポイントって、いくつかあると思うんです。一つ目は、アーティストという仕事の性質そのものによる不安ですよね。人気商売だから、数ヶ月後の収入も安定しないかもしれない、という漠然とした不安。SNSのフォロワーが増えるスピードが遅くなっただけでも不安を感じてしまう。二つ目は、音楽を作れる人って、元々感性が敏感だということ。気持ちの些細な変化とか見えない何かを意識しているからこそできると思うんです。三つ目は、音楽家という人間に対する社会の典型的なイメージと実態のギャップです。実はアーティスト自身にもいろんなタイプがいて、自分自身でもどんな人か分かっていない。自分の作品に対する反応への期待とズレも必ずある。社会の中では、商品として音楽が出回っているけど、商業的ではない魂の叫びみたいな音楽もあって。それが全て一緒にされてしまっている。音楽に対するアプローチが、世の中で色々な形でズレているのかも、という不安もあります。

手島将彦(以下、手島):アーティストを取り巻くズレって、特にありますよね。starRoさんのnoteで「同じレイヤーで他アーティストやリスナーと繋がることを求めることは、同じトライブ(種族)を探す流浪の民のようなもの」と書かれていたのを読んで、その通りだなって思いました。それぞれ細かく異なるアーティストが、ある程度の大枠である1つのトライブに合わせるとズレが生じる。個人が全く配慮されていないとしたら、ズレてる人が出てくるのがむしろ当たり前ですよ。

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