価値観の似た者同士が集まる危険性 なぜ判断を間違うのか?

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音楽学校教師で産業カウンセラーの手島将彦が、世界の音楽業界を中心にメンタルヘルスや世の中への捉え方を一考する連載「世界の方が狂っている 〜アーティストを通して考える社会とメンタルヘルス〜」。第26回はSNSの普及以降指摘されることの多くなった「エコーチェンバー」をテーマに、産業カウンセラーの視点から考察する。

自らの音楽を「エクスペリメンタル・ソウル」と呼び、ジャズ、R&B、ヒップホップなど、多様な音楽性が混ざり合った独自のサウンドで注目されているバンド、WONKのニューアルバム「EYES」が6月にリリースされることが発表されました。リーダーの荒田洸さんは「様々な価値観が交差する現代社会にむけたコンセプトアルバム」とし、「SNSの普及で多くの人が自分の価値観を共有できるようなった昨今、自分が親しいコミュニティーや自分に都合の良い情報で周りが塗り固められている状況が多くなってきているように感じます。エコーチェンバーという言葉で表現されるような状況は果たして健康的な状態といえるのでしょうか」と問題提起し、作品について「自分の周り、そして自分とは離れた場所、違った価値観の元で生活する様々な『EYES』は、それが自分の価値観とは合わないように思えても自らの人生においてきっと何かしらの糧となるはず」と語っています。



また、スティングもインタビューで「気をつけないと、自分に近い声だけが響く『エコーチェンバー』に閉じこもってしまうことになる。自分が信じていることを補強する意見しか聞こえなくなり、それが本当に正しいかどうか試されることもなくなる。だから、自分が所属する小さなカルト、排他的なグループの外の世界を見ることは重要。私自身も自分の『エコーチェンバー』に入りかねない」と、同様の問題提起をしています。

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