NYの三つ星レストランが炊き出し施設に変身、シェフが語る飲食業界の未来

このままでは全米の個人経営店の75%は営業を再開することができないとの予測

個人経営のレストランがコロナウイルスを乗り越え、1年は尾を引くと見られる不況を乗り切る可能性が万に一つでもあるならば、この業界も変わらねばならない。ニューヨークの著名なシェフやレストランオーナーたちは3月24日付のニューヨーク・タイムズ紙の寄稿記事の中で、すでに議会で可決されている救済措置よりもさらに大胆な支援策がない限り、全米の個人経営店の75%は営業を再開することができないだろう、と予測した。

支援金を勝ち取るべく、マーカス氏や記事の寄稿者の数名らは個人経営飲食店連立(IRC)を立ち上げた。3月25日、新型コロナウイルスが原因の合併症でこの世を去ったインド系アメリカ人シェフ、フロイド・カルドス氏を偲んで設立された団体だ。マーカス氏は、州レベルでの変革を呼びかける全米レストラン救済機会(ROAR)の立ち上げにも関わっている。「希望があるとすれば、業界が初めて、具体的かつ明確に組織された形で、ひとつに団結したことですね」とマーカス氏。「このような事態を招いた問題を全て解決するには、核となる支援団体の存在が不可欠だと思います」

3月27日、連邦議会はコロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES法)を可決し、中小企業支援策として給与保護プログラム(PPP)に3500億ドルを割り当てた。個人経営店のオーナーにとっては大惨事だった。融資資金は2週間も経たないうちに底をつき、Shake ShackやRuth’s Chrisといった大手飲食店グループが率先して融資を受け取った(後に両社は、合わせて3000万ドルを返納している)。だがどのみち焼け石に水だっただろう。同プログラムは返済免除の条件として、融資額の75%を従業員の8週間分の給与に充てること、と定めているからだ。オーナーにとっては店舗家賃やその他支払いが滞るばかりか、この先何カ月も続く問題にたった8週間しか対処することが出来ない。この短い期間が終わる頃までに店を開き、これまで通り営業を続けられないと、せっかく雇い直したスタッフを再び解雇しなくてはならなくなる。

Translated by Akiko Kato

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