映画館に行ける日は来るのか? 今夏公開映画の延期とこれから

コロナ禍で閉鎖中のドライブインシアターのエントランス(米ニューヨーク州オールバニー)Lev Radin/Pacific Press/Shutterstock


第4段階「抑うつ」:
年末に感染の第2波がやってくるという米疾病対策センター(CDC)の予測に打ちのめされる。なぜなら、スピルバーグ版『ウエスト・サイド・ストーリー(原題)』やドゥニ・ヴィルヌーヴ監督&ティモシー・シャラメ主演の作家フランク・ハーバートのSF古典作『デューン/砂の惑星』の大胆なリメイクといった年末公開予定の話題作さえ観られなくおそれがあるから。

第5段階「受容」:
映画の量と質の両方において2020年はすでに大不況であることを認める。人々を脅かす新型コロナウイルスのせいで映画が相次いで延期になるなか、今後状況が好転するなんてあり得ない。

ここでニューノーマル(新常態)について検証してみよう。科学者がワクチンを開発し、私たちが心から安心してポップコーンを頬張れるようになるまで、私たちはカオスの支配下に置かれる。大勢の人がふたたび映画館を訪れるまで、観客は安全対策を求め続けるだろう。新型コロナウイルスへの懸念によって制作を中断したハリウッドも同じような対策を押し進めながら映画づくりのスピードを加速させるはずだ。セットで働く俳優やクルーは、毎日検査を受けることになる。デジタル技術という魔法によって人混みのシーンはごまかせるかもしれないが、セックスシーンはどうなる? まさか、俳優に防護服を着せるわけにはいかないだろう。『コンテイジョン』(2011)のスティーブン・ソダーバーグ監督がトップを務める全米監督協会は、こうした懸念事項に取り組む構えだ。幸運を祈りたい。

新型ウイルスの恐怖を描いた映画『コンテイジョン』が再注目された理由




映画には、そこまでして観る価値があるのか? アメリカ人の精神はどういうわけか、この質問に「ない」と答えることを許さない。それは否定ではなく、根気の証だ。プレストン・スタージェス監督のコメディ映画『サリヴァンの旅』(1941)のなかで手錠をはめられた囚人たちが集まってディズニーのアニメーションを観ながら声を上げて笑っているシーンを観てほしい。映画の価値は、いまも私たちの心に響いている。映画館に行くという行為は、共同の体験なのだ。

さて、ここで別の質問だ——外の世界の恐怖に幸福にも無知なまま、私たちがふたたびシネコンで声を出して笑える日は訪れるのだろうか? もちろん、その日は来る。いくつかのウイルス攻撃が原因で映画館に行くという習慣が永遠になくなることはないだろう。自主隔離中のスピルバーグ監督は、決して諦めないという気持ちをTwitterに投稿した。「今夜、映画を観に行くことができたらどれだけいいだろう。ポップコーン、ジュニアミント、お気に入りの炭酸飲料が入った大きなカップを持って、前から3列目に座ってアクション映画あるいはおどけたコメディ映画を観るんだ。本当に最高だろうな」。映画館は営業を再開する。人々も徐々に戻ってくる。その時、私たちは隣り合って座りながら、一緒に同じ映画に没頭するのだ。



Translated by Shoko Natori

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