野田洋次郎が語る「新世界」の指針と覚悟

RADWIMPSの野田洋次郎(Courtesy of EMI Records)



これからのアートやカルチャーの役割

─『ANTI ANTI GENERATION』のリリース時に実施したRSJのインタビューで洋次郎くんはクロスオーバーな動きが進むバンドや自身を指して「バンドというキーワードが”音楽集団”という意味を持ち続ければどこにだって行けるはず」とおっしゃっていて、その通りの動きを見せてくれていると思います。ジャンルをクロスオーバーしていく音楽集団=RADWIMPSとして、あるいは野田洋次郎個人として実現したいと思っていることがあれば教えてください。

RADWIMPSとしてはさらに「表現集団」になれればと思っています。まだまだメンバーには期待していますし、RADWIMPSがハブとなっていろいろなクリエイターやクリエイティブの中継地や乗り合い場所になってくれたらなと思っています。それは僕個人において同様に思っています。

・RADWIMPSインタビュー「野田、桑原、武田が語るバンドの歩みと現在地」

ー現在の状況で音楽(アート、カルチャー)にできることはどんなことだと思いますか?

ここからおそらく3段階くらいに分けて、役割があると思います。

第一に、現状行き場のない怒り、恐怖、苛立ち、不安で世の中は溢れている気がします。そんな時にふとした瞬間だけでも、心の筋肉を緩められるようなことが音楽やアートにはできると思います。そっと、優しく寄り添ってくれるような。

第二に、この自粛期間が明けた時、晴れて街に人が出ていけるようになり、開放感でいっぱいになると思います。きっとそこには様々な音楽が流れ、人々の多幸感をより後押しするでしょう。繁華街の通りやカラオケやライブハウスやクラブ。あらゆるところに音楽が流れ出します。祝福に音楽は必要です。

第三に、そんなお祭りムードもひと段落し、いよいよ新しい「日常」を作っていく段階になると思います。これからの新しい時代をどう作っていくのか。そのムードを敏感に感知し、さらに提言も含めて牽引できるような音楽が必要になる気がします。迷子の僕たちが、さぁどこに向かって歩きだすんだ?というメッセージ。そんな意識で僕は音楽を鳴らしていきたいと考えています。

そして大きな視点で見ると、先ほど述べたように末端の小さな企業から行き場を失い、大企業が生き延びていく構図になっていきます。学生でバイトをして学費を払いながら学校に通っていた学生はバイトもロクにできず補助ももらえず退学せざるを得ない人もいます。決まっていたはずの内定が企業側から取り消される例もあります。力やお金がある人が選択肢や可能性を多く持ち、その他は限られた選択肢の中でもがく。このような状況が日本だけでなく世界中で生まれています。音楽やカルチャーはいつだってマイノリティや権力から遠い場所での葛藤や苛立ちから産まれ、育まれ、メインストリームに影響を与えるまでになっていきました。これからの役割はとても大きく、誤解を恐れずに言えばこういった状況はアートにとって最大のチャンスでもあると思っています。

・RADWIMPS 野田洋次郎が見てきたポップカルチャーの原風景

ー読者へのメッセージ、この機会に伝えたいことがあればおっしゃってください。

会社や学校や政府や地域や家族に少しでも不満があるのなら、愚痴をこぼすのなら、苛立ちをおぼえるのなら、変化を望むのなら、あなた自身がその変化になることがまず一番の近道です。この状況下での政府の対策に不満があるのなら声にしましょう。選挙に行き自分の声を届けましょう。誰かのせいにするのならまず自分が行動を起こしましょう。会社も、学校も、家族もそう。勇気を持って伝えましょう。そして話し合いましょう。何も提言せず、行動も起こさずして文句だけを言う時期は終わりました。

自分という存在の小ささに、世界というものの大きさに悲しくなる時があります。無力感でいっぱいになります。でもそんな小さな「個」で世界は出来上がっています。僕たち、自分自身が「変化」そのものになる時だと思います。

ー今後について、何か計画していることがあれば教えてください。

言えることはまだそこまで多くありませんが、今年予定していたワールドツアーはなんとしても、来年以降改めてやりたいと思っています。アフターコロナの世界をこの眼で見たいし、見た上で改めて僕が生きているこの国を見つめてみたいです。


「新世界」
RADWIMPS
EMI Records
主要音楽配信サイト・各種サブスクリプションサービスにて配信中
https://umj.lnk.to/RadShinsekai

RADWIMPS SHOP
https://radwimps-shop.radwimps.jp/

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