オバマ氏、トランプ大統領のコロナ対応を酷評「カオス的大惨事」

2019年9月、ドイツのミュンヘンで開催されたスタートアップ企業家向けのカンファレンス・イベント、ビッツ&プレッツェルズの開会式に出席したバラク・オバマ前米大統領(Photo by PHILIPP GUELLAND/EPA-EFE/Shutterstock)

オバマ前米大統領は、新型コロナウイルス感染拡大による非常事態へのトランプ大統領の対応について「まったくのカオス的大惨事」と激しく非難した。オバマ氏の批判的なコメントは、同氏の政権下の元メンバーとのプライベートな電話会議の音声記録によって明らかになった。

米ヤフーニュースが入手し、現地時間5月8日に公表した音声記録には、トランプ大統領補佐官を務めたマイケル・フリン被告(訳注:トランプ政権のロシア疑惑捜査で連邦捜査局に虚偽証言した罪に問われていた)の起訴を取り下げるという5月7日の司法省の決断に対するオバマ氏の「法の支配に関する我々の基本認識を揺るがす」という発言も含まれていた。

トランプ政権のパンデミック対応と国際社会の反応に言及する一方、オバマ氏は来る大統領選挙の重要性を説き、そこでの自身の役割が増したことを示唆した。さらにオバマ氏は、増加する「自分勝手な振る舞い」と同族主義の長期的傾向との戦いについて語った。

「あらゆることが問われる今年の大統領選挙は、極めて重要だ。なぜなら、それはもはや特定の個人対個人の戦いでもなければ、政党同士の争いでもないからだ。我々が戦うべき相手は、アメリカ国民の生き方においてより顕著になってしまった利己主義、同族主義、分断、他者を敵とみなす長期的傾向である」とオバマ氏は語った。

「なお、世界的にもこのような傾向が見られる。世界レベルの非常事態への対応がこれほどまで無気力でまばらである理由のひとつは、そうした傾向のせいでもあるのだ。どれほど優れた政府が対応してもひどい事態は避けられなかっただろう。だが、『自分の利益は何?』や『他人がどうなろうと関係ない』という思考にもとづいて政府が動いた結果、まったくのカオス的大惨事が起きてしまった。だからこそ、私はジョー・バイデンを支持するためにできるだけ多くの時間を費やし、力の限り彼をサポートするつもりだ」。

さらにオバマ氏は、フリン被告をめぐる司法省の判断の重大さに懸念を示し、この件がパンデミック報道によってしかるべき注目を集めていないかもしれないと次のように指摘した。「私が思うに、この24時間以内に起きたニュース——司法省がマイケル・フリンの起訴を取り下げたというニュース——はいくらかないがしろにされてきた」。

オバマ氏は、ウィリアム・バー司法長官の決断は異例であり、制御不能になるおそれがあると続けた。

「偽証罪に問われていた人物が無罪放免になるなど、まったく前例のないことだ。こうした事態は、制度的な規範だけでなく、法の支配に関する我々の基本認識を揺るがし、我々を不安にする。今回に限ったことではないが、ひと度そのような方向に進むとあっという間に広がるものだ」とオバマ氏は言った。

メディアが明かしたオバマ氏の発言に対し、トランプ大統領は目下無反応だ。だが、「いつも欠かさずツイート」を掲げるトランプ大統領のインターネット・ミームで皆様もご存知の通り、ツイートの嵐が吹き荒れるのも時間の問題だろう。

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Translated by Shoko Natori

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