バイデン氏の性的暴行疑惑についてわかっていること

●暴行疑惑を全面否定しているバイデン氏の根拠は?

リード氏によれば、彼女は問題の暴行の後バイデン氏の首席補佐官だったテッド・カウフマン氏、次席補佐官のデニス・トナー氏、そして秘書のマリアン・ベイカー氏に苦情を申し立てた。彼らにはハラスメントについては申し立てたが、暴行の話は含まれていなかったという。また彼女を解雇したのはカウフマン氏で、次の職探しに1カ月の猶予を与えられたそうだ。

カウフマン氏はニューヨーク・タイムズ紙に対し、リード氏のことも、彼女の主張も記憶にないと語った。「彼女のことは知りません」と本人。「彼女から話を受けたこともありません。もしそういうことがあったなら、覚えているはずです」

次席補佐官のトナー氏、そして秘書のベイカー氏も同様に、リード氏の主張を全面的に否定した。「不適切行為の報告は一切、目にしたことも、耳にしたことも、受けたこともありません。――リード氏に限らず、誰からもです」とベイカー氏はタイムズ紙に語った。「リード氏が言うような出来事は全く知りませんし、記憶にもありません。もし知っていれば、働く女性として、また管理職の人間として、しっかり記憶に残っているはずです」

リード氏の下で働いていた複数のインターンは、彼女が事務所を突然辞めたのは覚えていたものの、ハラスメントや暴行疑惑については聞いたことがないと述べた。


●リード氏が上院議会人事部に申請した苦情はどうなった?

リード氏の話では、事件後すぐに正式に苦情を申し立てたが、書面の写しは取らなかったそうだ。

バイデン氏及び事務所の複数の元補佐官らは、苦情が申し立てられた記憶はないと述べている。5月1日のインタビューでもバイデン氏は、37年間の議員生活の中で苦情を申し立てられた記憶はないと語った。「私が知っている限り、上院議員の任期中も、政治家生命においても、苦情を申し立てられたことは一度もありません。いいですか、これは公然の事実です。隠し立てすることなど何もありません。全くありません」

さらにバイデン氏は、リード氏が本当に苦情を申し立てたのであれば、国立公文書館に保管されているはずだと言った。ここには当時の上院公正雇用慣行事務局の記録が保管されているという。バイデン氏はリード氏が主張する苦情申し立ての記録の有無を国立公文書館に確認させ、マスコミに公開するよう上院秘書官に命じた。「何も出てこないと確信しています」と、同氏はMSNBCに語った。

MSNBCとのインタビューを受けて、国立公文書館のスポークスパーソンは該当する記録はないと述べた。上院議会の決議によると、リード氏が実際に公正雇用慣行事務局に苦情を申し立てていたとすれば、2043年まで、つまり申し立てから50年後まで、記録は非公開とされる。


●最近になってリード氏がワシントンD.C.警察に提出した被害届について

リード氏は、ワシントンD.C.での性的暴行の時効が過ぎていることは知りつつも、4月9日に被害届を出したと述べた。「身の安全のためにそうしました。そして今後、あるいは将来的に捜査が行われた場合は当局に協力し、必要とあれば宣誓下で証言するつもりだということを示したかったのです」と、ワシントン・エグザミナー紙に語った。被害届によるとリード氏は、自分は「1993年に被疑者2が犯した性的暴行の被害者」である、と訴えており、被疑者2がバイデン氏であることは、リード氏本人も認めている。

D.C.メトロポリタン警察署のスポークスパーソンは水曜、リード氏の被害届に対する捜査は「行われていない」と述べた。

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Translated by Akiko Kato

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