大手レコード会社の重役たちが明かす、Withコロナ時代のマーケティング戦略

物理的なやりとりが困難となっている今、アーティストやレーベルはオンラインの世界で存在感を示す方法を模索している。(Photo by Eric Risberg/AP/Shutterstock)



3つのセクションに分けられたデジタルマーケティングプラン

ベルによると、エピックではデジタルマーケティングプランを大きく3つのセクションに分けている。アーティストおよびレーベル主導のコンテンツ(自宅パフォーマンス等)、ラジオやプレス等のメディア露出、そしてスコットの「フォートナイト」でのコンサートのような緻密なプランを伴う企画の3つだ。

エピックはチャリティー目的のバーチャルツアー「Live From Home」にミーガン・トレイナーを参加させ、彼女は自宅の各部屋で披露したパフォーマンスを、複数のソーシャルメディア上で公開した。レーベルの3つのマーケティング部門が関与した、トレイナーのツアー生活を自宅でシミュレートしようとする同企画は22万5000ドル(約2400万円)を集め、全額が慈善団体Feeding Americに寄付された。「宣伝用に実際のツアーさながらのポスターを作成しました。ややキッチュですが、『現場』らしいムードを作ろうとしました」。ベルはそう話す。「寝室、庭、キッチン、リビング等、シチュエーションは毎回変わります。あれは単なる代替イベントではなく、ファンに楽しんでもらうことを重視したマーケティングの成果だったんです」

エピックはバーチャルツアーにおける補足的マーケティングのシミュレーションも試みている。特定のプラットフォーム上で数名のファンがトレイナーと対話できるという企画は、ラジオで行われたコンテストの勝者をツアーのバックステージに招待するという従来のコンセプトをアレンジしたものだ。「さらに一歩進んだ試みを実践したかったのです」。ベルはそう話す。「バックステージでのミート・アンド・グリートで得られる興奮を、バーチャル空間でできる限り再現しようと務めました」

アルバムの発売を延期したレーベルは少なくない。レディー・ガガの新作『クロマティカ』(当初は初春の発売を予定していたが、5月末に延期)、自身の名を冠したアリシア・キーズの新譜『Alicia』(発売日は今のところ未定)等のビッグタイトルも、この混乱の中で発売の延期を余儀なくされた。しかし本誌の取材に応じたレーベルのいくつかは、リリースのサイクルに多少の変更はあったものの、オペレーションの大部分は安定しており、明確なタイムラインに沿って作品リリースのプランを立てることができているという。

Translated by Masaaki Yoshida

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE