ボブ・ディラン最新作「ジャケ写」撮影秘話 56年前の作品が採用されるまで

現在、ベリー氏の膨大なアーカイブはマグナム・フォトが管理している。以前にもマグナム・フォトはディラン側と取引したことがある。ブルース・デヴィッドソン氏が1959年に撮影した車内でメイクラブする若いカップルの写真は、ディランの2009年のアルバム『トゥゲザー・スルー・ライフ』のジャケットに起用された(ディランは2001年の『ラヴ・アンド・セフト』以来、オリジナルアルバムのジャケットに自分の写真を一度も使用していない)。

今回も取引を担当したのはマグナムだったが、最終的に許可を出す前にベリー氏に連絡が入った。「当然、もともとの作品はモノクロ写真でした。あちらは採色してもいいか、私に確認を取りたがっていたんです」と本人。「私は全く構いませんでした」

ベリー氏はディランの楽曲にそれほど詳しいわけではないが、彼の妻は大ファンだそうだ。「私よりも妻のほうが(アルバムジャケットのニュースに)興奮していますよ」と本人。「もちろん、私も折に触れて『悲しきベイブ』とかその辺を聴きはしますが、どちらというと、私よりも妻のほうがよく聴いています。私はジョーン・アーマトレイディングとかジョーン・バエスとか、歌詞がちゃんと聞き取れるシンガーのほうが好きですね」

『ラフ&ロウディ・ウェイズ』は6月19日リリース予定(日本盤は7月中旬予定)。すでにアルバムから「偽預言者」「最も卑劣な殺人者」「アイ・コンテイン・マルチチュード」の3曲がリリースされている。

近年のスタジオ・アルバムとしては、主にフランク・シナトラがレパートリーとしていたグレイト・アメリカン・ソングブックと呼ぶに相応しいカバー作が、2015年『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』、2016年『フォールン・エンジェルズ』、2017年『トリプリケート』と3作続いていた。『ラフ&ロウディ・ウェイズ』はスタジオ・アルバムとして39作目で、全10曲収録のCD2枚組。2016年にソングライターとして唯一のノーベル文学賞受賞者になって以来、新曲を集めたアルバムとしては初めてになる。

●ボブ・ディランが『追憶のハイウェイ61』でロックの歴史に残したもの




『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
ボブ・ディラン
2020年7月中旬発売予定
W紙ジャケット・CD2枚組
解説・歌詞・対訳付
予価:¥3,600+税
https://sonymusicjapan.lnk.to/BobDylan_RRW

Translated by Akiko Kato

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