Kan Sanoが語るコロナ時代の表現と暮らし「音楽と生活、政治が地続きなのは間違いない」

Kan Sano、自宅で撮影


誰だって政治の話はしてもいいし、したほうがいい

―少し音楽から離れて、Sanoさんの日々の生活に関しても聞きたいんですけど。

Sano:僕は音楽しか趣味がない感じでずっとやってきちゃったので、本当に何もやることがないんです。今年からNetflixを始めたので、映画を観たりはしてますけど、そのくらいですよ。

―日常的なことに関して変化はありますか?

Sano:それも特にないかな。家でメダカを飼ってるんですけど、春になると繁殖の時期で毎日卵を産むので、それが唯一の楽しみになってますね。

―実はうちにもメダカいるんですよ(笑)。卵が産まれたら別の水槽に分けたりしてあげてるんですか?

Sano:やってます、やってます。親メダカが稚魚を食べちゃうので、分けないとダメなんですよね。100匹くらいいるんですよ。あとは例年、この時期だったらバーベキューだったり、友達とキャンプに行くとか、いろいろやってたんですけど、全部できないですから。コロナはもちろん怖いけど、精神をいかに保つか。そこの方が大きな問題ですね。


Kan Sano宅のメダカ

―セルフケアみたいな意識でやってることは?

Sano:うーん、自分へのご褒美ってことでネットショッピングすることが増えたり(苦笑)。でも、ネットで頼むとそれを配達する人がいるわけでね。ごめんなさいって思いながら、つい頼んでしまう。

―うちも毎日CDとか本が届いてます。

Sano:僕もいいウィスキーとか頼んじゃって……(笑)。あとはインスタとかでふざけるのも多少はストレス発散になってる気がしますね。SNSとはいえ、人とコミュニケーションはとれるので、それで救われることはありますよね。さっきも話したように、シンドかったり疲れることもありますけど。


Kan Sanoは今年3月から、自身のセレクトによるプレイリストを毎月更新中

―あと、Sanoさんは小規模なライブハウスにもよく出演してますよね。

Sano:そうですね。

―バーやカフェでささやかな規模のライブをやったりもしている。そういうSanoさんから見て、今のライブハウスの状況ってどう感じてますか?

Sano:メチャクチャ辛いですよ。全国各地のライブハウスのスタッフさんたちの顔をいつも思い浮かべてます。海外ではどんな感じで国が動いているのかわからないけど、日本はあくまで「自粛を要請」って言い方をするじゃないですか。そのしわ寄せがライブハウスや飲食店に来ちゃってますよね。

―自粛を余儀なく強いられているのに、行政からの補償がなくて厳しい状況になっている。sanoさんが以前、インスタのストーリーズでファンの質問に答える形で、政治に対する自分の姿勢について言及していましたけど、それもこういう話と関係あるのかなと思ったんですが。

Sano:そうですね。ただTwitterを見ているときも、誰かの政治的なツイートに考えが近い部分があったりすると「いいね」を押したくなるけど、フォロワーが引くだろうなとか思って躊躇してしまうんですよね。いきなり政治の話をすると引かれたりするじゃないですか。自分はそういう部分を変えていきたいとは思いつつも、前のめりになりすぎるとみんな引いちゃうかもしれないので、そこは上手く小出しに忍ばせていって、自分なりに発言なり表現したりしているつもりなんですよね。



―少なくとも僕には、その姿勢は思いっきり伝わってますよ。

Sano:そういえば最近、『ポスト・サブカル焼け跡派』って本をTwitterで知って読んだんですけど、今の日本における政治への無関心や事なかれ主義も、元を辿れば70年代くらいから始まっていたみたいなことが書いてあって。そう考えると根が深過ぎる問題だなって。今回のことをきっかけに、今後良い方向に向かうかもって考えてる人もいますけど、そう簡単には変わらなさそうな気もするし、僕はそこまで期待していないかもしれないです。震災の時にも「これから日本が変わるんじゃないか」って期待がありましたよね。でも、何も変わらなくて、あれがトラウマになってるんですよ。だから、そう簡単に期待できないし、今は自分自身や周りの人間が幸せに暮らしていけるよう考えることで精一杯なので。もちろん投票に行ったり、できることはやりますけどね。

―とはいえ、期待はしてないけど、諦めてもいないから、時折メッセージをSNSに忍ばせたりしてるんですよね?

Sano:そうですね。ミュージシャンが政治について発言をするのを良しとしない風潮って謎じゃないですか。ミュージシャンに関わらず、誰だって政治の話はしてもいいし、したほうがいいはずだと思うんですけど、日本はなんでこんな空気になったのかなって。2000年代前半は(バークリー留学で)アメリカにいて、東京に来たのはその後なので、こんなふうになった過程がわからないんですよ。だから、さっきの『ポスト・サブカル~』とかを読んだりして、ようやく流れを理解しようとしているところです。

―ここまで話してきたように、Sanoさんの中では音楽と生活がそんなに離れたものではないって意識があると思うんですよね。さらに、その生活の中に政治も含まれているという認識が、直接的ではないけど、Sanoさんの活動からも伝わってくるというか。

Sano:僕は政治的なメッセージを音楽に直接込めたりはしないタイプですけど、政治と生活が地続きなのは間違いないと思っています。






Kan Sano
『Ghost Notes』
発売中
http://kansano.com/music/ghost-notes/

公式サイト:http://kansano.com/

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