リトル・リチャードが生前に語った、ロックンロールの夜明けと過小評価されてきた生涯

俺はお金をもらってこなかった。自分でレコードを作ったのに、ほとんどのレコードでギャラが支払われたことがない。スタジオにいるときも、そこにいる連中はあれこれ注文をつけてくるだけで、実際に曲を作るのは俺だった。リズムから何もかもね! 「グッド・ゴリー・ミス・モリー」にしても、俺は一銭も貰えなかった。今(2004年当時)はマイケル・ジャクソンがスペシャルティ・レコードの著作権を所有している。マイケルから一度、作曲家として彼の出版社で仕事しないかとオファーをもらったことがある。その時は断ったが、今思えば受けておけばよかった。

いろんな物事がもっと違っていればよかった。俺は本当に報われない人生を送ってきたと思う。

50人の中に選ばれるのはありがたいけど、誰が1位や2位かはどうでもいい。なぜなら、俺が選ばれるべきだと思う人物、過去のエンターテイナーはそこに選ばれないだろうからね。ローリング・ストーンズは俺と一緒にスタートしたけど、彼らはいつだって俺より前にいるよ。ビートルズもそうだ。彼らが最初のレコードを作る前、ドイツのハンブルグにあるスタークラブで演奏していた頃からね。ジェームス・ブラウン、ジミ・ヘンドリックス……彼らのキャリアは俺と一緒に始まった。俺は彼らに食事を与え、話しかけたりして、そして彼らはいつも俺より前にいる。

※編注:2004年に発表された「ローリングストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大なアーティスト100組」でリトル・リチャードは8位に選出。ビートルズが1位、エルヴィス・プレスリーが3位、ストーンズが4位、ジミ・ヘンドリックスが6位、ジェームス・ブラウンが7位だった。

でも、今もこうやって生き長らえて、時の試練に耐えているのは嬉しいことだよ。喜びや楽しさ、幸せを求めるとき、人々は昔ながらのロックンロールを聴きたいと思うみたいだ。俺もその一端を担えたことを嬉しく思っている。(2004年時点で在命なのは)俺とボ・ディドリー、チャック・ベリー、ファッツ・ドミノ、ジェリー・リー・ルイス、エヴァリー・ブラザースだけになってしまった。すっかり手薄になってきている。俺たちは良かった時代の最後の生き残りだ。もうじき全く新しい世の中がやってくるだろう。でも、それはかつてとは違うものになるはずだ。絶対に。

※編注:2020年5月現在、ジェリー・リー・ルイスとドン・エヴァリー(エヴァリー・ブラザース)を除いて全員亡くなっている。

●映像で振り返るリトル・リチャードの歩み

Translated by Rolling Stone Japan

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