大統領も盲信、漂白剤摂取の恐ろしい副作用

消毒液を注入すれば新型コロナの治療に効果があるかもしれない、と示唆したドナルド・J・トランプ大統領。実際にはそのような効果はない (Photo by Jabin Botsford/The Washington Post/Getty Images)

トランプ大統領は記者会見の席で、根拠のない危険な医学的アドバイスを推奨。

4月24日の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)定例記者会見で、トランプ大統領は消毒液を注入すれば体内からウイルスが除去されると仄めかし、理性のある人々を皆困惑させた。

「消毒液は(物体の表面からウイルスを)1分で、たった1分で撃退することがわかっている。体内に注入(すること)で同じようなこと、あるいはほぼ洗浄することが出来るのではないか。肺に付けばすごい数のウイルスを死滅させることが出来るのだから」と大統領は述べたが、彼の後ろではホワイトハウス新型コロナウイルス対策チームの調整官、デボラ・バークス博士が見るからに信じられないという表情をしていた。

・記者会見中の映像、博士の表情に注目

さらにトランプ大統領は会見で、紫外線が患者の体内からウイルスを除去する可能性も示唆した。「紫外線を大量に、あるいは非常に強力な光を人体に当てたらどうだろう。まだ検査されていないという話だが、これから検査が行われるだろう。それで私は皮膚を通して、あるいは何らかの方法で、体内に光を送り込んでみたらどうだろうと提案した」

一見したところ、トランプ大統領の発言はあまりにも荒唐無稽なのでいちいち正すまでもないように思える。だが実際には、3月に世界保健機構(WHO)が「紫外線は肌の炎症を引き起こす恐れがある」として虚偽であることを公に断言したにも関わらず、漂白剤摂取も紫外線放射もパンデミック中に有効な見込みのある治療法としてまことしやかに囁かれていた。

どうやら紫外線説は、紫外線が物体の表面や空気中のウイルスを殺菌するという国土安全保障省の研究を根拠にしているようだ。「表面のウイルスはあっという間に殺菌されます」と、ニューヨーク市の救急医、ケネス・R・ワインバーグ医師も言う。「(ですが)人間に照射した紫外線が体内に入り込むとか、体内に光を送り込むとかいう考えは――一体何を言っているのか、さっぱりです。そもそもどうやって? 結腸内視鏡? 気管支鏡? どうやって人間の体内に光を当てるつもりなんでしょう?」

こと漂白剤に関しては、一部の陰謀論者たちの間では癲癇から自閉症まであらゆる病の万能薬として長年謳われてきたが、COVID-19パンデミックでさらに注目を集めている。NBCニュースの報道によると、ミネラルミラクルソリューション(MMS)――漂白剤の希釈液で、医療専門家からは全面的に嘘の烙印を押されている――の支持者らは、トランプ大統領の発言に沸き立ち、とあるQアノン支持者はMMSは「有効な肺の洗浄薬」だと投稿した。

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE