デビュー40周年を迎えた松田聖子80年代の10曲、加山雄三の永遠さに近いものがある

松田聖子 1985年撮影(Photo by Tim Roney/Getty Images




1982年1月発売の8枚目のシングル『赤いスイートピー』。作曲は呉田軽穂、ユーミンですね。この曲は本当にいいですね、大好きですよ。ユーミンが女性アイドルに曲を書いたのは1976年の三木聖子さんに書いた『まちぶせ』以来でしょう。呉田軽穂としては初めてですね。この曲のタイトルも若松さんが決めたということでした。松本隆さんが聖子さんに書いた曲の代表作。松本さんの作風がよく現れていますね。「春色の汽車」、「雨に降られるベンチ」という情景描写、「線路脇のつぼみ」というディテールの表現の上手さ。そして半年経っても手も握らない気弱な男の子が相手という設定。これは松本さんに直接お聴きしたんですけど、1980年代の初めは“荒れる高校”という時代。週刊誌などでも女子高生の初体験の低年齢化というのが頻りと語られていた。松本さんは「そんなことないんじゃないか?」と思って書いた。「そういう風潮への反発、メディアに対しての僕のアンチテーゼだよ」と仰っていました。皆が皆そうじゃないんじゃないか、こういう気の弱い男の子がいて、そういう男の子を好きな女の子も絶体いるんだという、確信犯的に書いたストーリーだった。それももちろん興味深いんですが、今回改めて思ったのが、あなたの生き方が好きよっていう部分、ここだ! と思ったんですね。つまり、“生き方が好き”というラブソングを歌ったアイドルがいただろうか。松田聖子さんは当時の女の子の“生き方”を歌ったアイドルだった。これは改めて発見した気分であります。この曲の入ったアルバムからもう1曲お聴きいただきます。「レモネードの夏」。



1982年5月発売の5枚目のアルバム『パイナップル』から「レモネードの夏」。「今は私も二十歳 自由に生きることを覚えながら 一人で生きてる」って歌っているんです。これも作曲はユーミンですね。生き方ですよ。さっきお聴きいただいた「風立ちぬ」の中にも、「一人で生きていけそうね」っていう歌詞があります。そして、その2曲とも舞台は避暑地、高原のコテージですね。「風立ちぬ」で“1人で生きていけそうね”と歌った主人公が、1年後にあなたに会いに来たという設定ですよ。“未練じゃなくてさよならを言うために来た”という再訪。「風立ちぬ」も失恋の曲です。そこからどう生きていくか。「レモネードの夏」は1年経ってその場所にもう1回行って、私は、今はもう1人で生きていると相手に言いに行くストーリーが素晴らしいじゃないですか。1970年代のアイドルはどんなことを歌ったのかという一つの例として、山口百恵さんに「女の子の一番大切なものをあなたにあげるわ」という歌があったでしょう。聖子さんはそんなことを言わない。1人で生きていく意志のある主体性のある女の子。それが彼女の歌、特に松本さんの書いた歌では一貫していますね。この「レモネードの夏」は、シングル盤のB面でした。そのシングルのA面がこちらです。

Rolling Stone Japan 編集部

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