クラフトワークはなぜ偉大なのか? 音楽史を塗り替えた「ロボット」の功績

クラフトワーク(Photo by Fröhling/Kraftwerk/Getty Images)

クラフトワークの共同創設者、フローリアン・シュナイダーが73歳で亡くなった。ドイツが生んだテクノのパイオニアは、後世のポップミュージックにどんな影響をもたらしたのか? ele-king編集長の野田努が解説する。

※この記事は『CROSSBEAT』2013年6月号に掲載されたものです。

「ロボット」という永遠のコンセプト

そのときの衝撃は、30年以上経ったいまでも鮮明に覚えている。僕は中学生で、ラジオで初めてクラフトワークを聴いた。「Showroom Dummies」という曲だった。到底、この世界の音楽とは思えなかった。いままで聴いたことのない何かに感じた。その翌年、『The Man-Machine』が発売された。僕が最初に買ったクラフトワークのアルバムだった。

それが機械で作られた音楽であることに感動を覚えたわけではなかった。ひとつにはそれが、いままで聴いたことのない陶酔的な音楽に思えたこと、そしてもうひとつは、変な話だが、リスナーとしての自分のレヴェルがひとつ上がったように思えたことが、いまでも忘れられない。こと「The Robots」(明らかに「Showroom Dummies」の延長)には本当にくらくらした。「私たちはロボット」、そう繰り返し歌う彼ら自身もロボットだった。クラフトワークは、クラフトワークというバンドではなく、クラフトワークというコンセプトであり、フィクションとなった。永遠である。




さて、ではこの偉大な存在の特徴を列挙してみよう。

1. 英米以外にもポップ・ミュージックがあることを世界中に認めさせたこと。
2. 現代音楽とポップを融合させたこと。
3. 電子音楽をポップにしたこと。
4. バンドそれ自体がコンセプトになったこと。

その影響が最初に顕在化したのは、ブライアン・イーノの『Another Green World』、デヴィッド・ボウイのベルリン3部作やポスト・パンクにおいてだった。『The Man-Machine』は、ロックの古くさいクリシェ(やかましいギター、汗臭いドラム、お決まりのシャウト等々)を否定する、ポスト・パンクのひとつの指標ともなった。UKのデペッシュ・モードやOMD、ヒューマン・リーグといったバンドがその代表的なフォロワーである。USではスーサイドがクラフトワークとヴェルヴェット・アンダーグラウンドを繋げているが、スティーヴ・アルビニのビッグ・ブラッグによる「The Model」のカバーも忘れがたい。母国ドイツからは、DAFやリエゾン・ダンジュルーズが登場した。もちろんフロント242やニッツァー・エブなどのボディ・ミュージックにもその遺伝子は伝達されている。


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