「新型コロナのパンデミックに関して、我々の見事な対応は最高の評価を得た」とトランプ米大統領が根も葉もない虚言をTwitterに投稿する一方、米政府はウイルスによる1日の死者数が急上昇し、6月1日までには3000人に達すると見込んでいる。ニューヨーク・タイムズ紙が報じたところによると、米疾病対策センター(CDC)が作成した非公開モデルには、新型コロナウイルスによる死者数が新たに急増するという試算が示されていた。CDCの報告内容によると、1750人という現在の1日の死者数が倍近い数に加速するという予測が示されていたのだ。
同紙が入手した米政府の内部文書には、「新規感染者は5月末までに毎日約20万人増加し、現在の約2万5000人から大幅に増加する」と予測したグラフも含まれる。その一方でアメリカの多くの州で経済活動が再開されるなか、トランプ大統領は地方自治体に対して再開の動きを推奨する、あるいは沈黙を続けるという異なる態度を示している。
米現地時間5月4日、ニューヨーク・タイムズ紙がゾッとするような内容の記事を公表したのと同じ日にトランプ大統領は「新型コロナのパンデミックへの我々の見事な対応——とりわけ、絶望的に不足していた人工呼吸器の生産強化や臨時病院の設営と病床確保、さらには、まもなく行われる検査に対する我々のすばらしい取り組み——について最高の評価を得た。みんな一丸となって本当によくやっている!」とTwitterに投稿した。
だが、ジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のジョシュア・シャーフスタイン教授は警鐘を鳴らす。「我々がこのウイルスを押さえ込むことができている唯一の理由は、互いに距離を取ることができたからです。(経済活動の再開によって)こうして人々がふたたび集まるようになったからには、さらなる感染拡大は必須と言えるでしょう」とシャーフスタイン教授は政府の内部文書について米NBCニュースのジャーナリスト、アンドレア・ミッチェルに語った。
さらに同紙は、内部文書が示した新たな予測は、経済活動の再開によってアメリカが3月中旬と同じ状態に逆戻りしてしまう、という公衆衛生の専門家たちの懸念を裏打ちするものであると主張する。3月中旬とは、まさにアメリカの多くの医療施設が崩壊寸前だった時期だ。
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