コロナ危機に打つ手なし、生活崩壊で絶望する音楽家たち「1日で6つの仕事を失った」

仕事先でのトニ・グロービスとブランドン・バーニー(Courtesy of the subjects)

アメリカに住む音楽家カップル、トニ・グロービスとブランドン・バーニーのスケジュールは数カ月先まで埋まっており、収入も確保されていた。しかしある日、新型コロナウイルスの襲来によって2人の仕事は消滅した。「1日で6つの仕事を失った」とグロービスは語る。「いまは、ひたすら裁縫をしているんです。でも、不安で仕方ありません」

3月初頭、トニ・グロービスとブランドン・バーニーのカップルは、今後数カ月間は忙しくなることを覚悟していた。2人は、ピアニストのマイク・ガーソン、ベーシストのカーマイン・ロハス、ギタリストのジェリー・レオナルドを筆頭に、デヴィッド・ボウイのライブバンドの主要な元メンバーたちがボウイの名曲やマニアックな楽曲を演奏するために一堂に会したツアー、A Bowie Celebration: The David Bowie Alumni Tourにツアークルーとして携わっていたのだ。グロービスの担当は照明、衣装、ステージエフェクト。バーニーは、ステージマネージャーとギターテクニシャンを兼任していた。

春にツアーがひと段落したあとも、グロービスとバーニーは——ある時は各自で、またある時は一緒に——米ロックバンドの3ドアーズ・ダウンと英ロックバンドのジェスロ・タルの元ギタリストのマーティン・バリーがバンドの名曲を再演するツアーなど、長距離移動をともなう仕事のおかげで何カ月も忙しい日々を送るはずだった。ここから5カ月で2人が見込んでいた稼ぎは4万5000ドル(およそ481万円)以上。だが、新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大によってライブ業界が中断を強いられると、2人は大きな不安の渦に呑み込まれていった。

●【写真を見る】コロナ直撃、ライブハウスも壊滅的打撃

グロービス(37)とバーニー(42)は、米オクラホマ州で毎年開催される音楽フェス、ロックラホマで2016年に出会った。当時、バーニーは3ドアーズ・ダウンと仕事をしており、グロービスはフェス会場でバンドの機材等の搬出入作業を手伝っていた。現在、カップルはノースカロライナ州ローリーで借家住まいをしている。今回は、新型コロナウイルスが与えた生活への影響についてグロービスが米ローリングストーン誌に語ってくれた。

Translated by Shoko Natori

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