コロナ危機に打つ手なし、生活崩壊で絶望する音楽家たち「1日で6つの仕事を失った」

仕事先でのトニ・グロービスとブランドン・バーニー(Courtesy of the subjects)


私たちは、正真正銘のフリーランスです。労働組合には加入していません。ツアークルーのほとんどは非組合労働者です。とりわけロックの場合はそうですね。組合労働者は、たいていの場合はブロードウェイや『キャッツ』といったミュージカルのツアープロダクションで働いている人たちです。そうした労働組合に加入することは可能ですが、結局のところ、いまはどこも同じ状況なんです。

とにかく働きたいです。「スーパーのレジで働けばいいじゃない」と言う人もいるでしょうけど、どこも人を雇っていません。ウェイトレスという仕事を批判するつもりはないのですが、私にはそんな選択肢さえありません。選択肢として考えられるのは、運送、搬入、スーパー、あとはザ・ホーム・デポ(訳注:米住宅リフォーム・建設資材・サービスの小売チェーン)かしら。生活のためには、どこでも働くつもりです。普段の仕事は荷物の積み降ろしですから、ザ・ホーム・デポで働くことになんの問題もありません。でも、こうした仕事をするにはバイリンガルでなければいけないのです。残念ながら、私はそうではありません。職安でも「仕事を見つけないといけません」と言われるのですが、「どこで? どこも営業してないし、人なんて雇ってないじゃない」と言わざるを得ません。



バーニーは、週に300ドル(およそ3万2000円)程度の失業手当をもらっています。私は、いまだに失業手当さえもらえていません。10万人が同時にシステムにアクセスし、ホームページはいつもダウンしたり、ストップしたり、リロードしたりしている状況です。どうやら私は間違った箇所をクリックしてしまい、仕事を断った人として登録されてしまったようなんです。仕事なんて断っていないのに。アクセスするたびエラーコードが表示され、誰かに電話で問合せるようメッセージが表示されるんです。でも、電話での問い合わせは受け付けていないので、結局はオンラインでやらないといけません。

いくつかの銀行口座にわずかな貯金はあります。このような事態になってしまう前にいくつか仕事があったので、閑散期用の蓄えのおかげでかろうじて生活できています。でも、次の閑散期を乗り越えられるほどの余裕はありません。蓄えを切り崩していますが、補填することはできていませんから。だから、ライフスタイルを少し変えることにしました。バーニーと私は、いつもは週に一度は外出していました。行き先は、ビーチとかダウンタウンの美術館です。いずれにしてもいまは行けませんが、行けたとしても現在の財政状況では無理ですね。

この状況を乗り越えるためにできる限りのことをしている、と自分に言い聞かせています。ツアークルーとして、私はライブのためにいままで多くのことを犠牲にしてきました。葬儀、誕生日、結婚式といったさまざまなことを。いまから7月にかけては、家と車の支払いと生きていくための食費をどうやって搾り出すかを考えなければいけません。バーニーと私の両方が失業手当をもらえるようにならないと、欲しい家を買う資格さえないんです。というのも、収入があることを証明しなければいけませんから。家の掃除とか、いろいろやる時間はあります。いまは、ひたすら裁縫をしているんです。でも、不安で仕方ありません。

Translated by Shoko Natori

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