佐野元春インタビュー「現実逃避するだけではなく、そこから先に見える景色を楽しみたい」

佐野元春(Courtesy of DaisyMusic)



「次々に送られてくるみんなの演奏と映像を見て、僕は部屋の中で、ちょっと泣きました」

―オンラインでのレコーディングは具体的にどういう風に?

佐野:詳しく言うと、僕が演奏して歌ったデータファイルをバンドのメンバーみんなに共有してもらって、メンバーそれぞれ自宅でダビングし、ダビングしたファイルがまた僕のところに戻ってきて、僕がミックスをして出来上がりました。ただ、今回は音だけではなく、みんなそれぞれの部屋で演奏しているムービーを自撮りしてもらった。やろうと思えばソーシャル・ディスタンシングでもセッションできるんだとわかって楽しかった。

―佐野さんが一人で歌うのではなく、バンドでやると。

佐野:そうだね。バンドの僕らは離れていても絆は壊れることはない。それをテーマにした共同作業だった。僕一人じゃないっていうことです。

―演奏したり、映像をまとめたりする時にこだわったポイントは?

佐野:実はバンドのメンバーには僕から何も言わなかった。けれども、演奏も動画も最高のものを送ってくれた。で、このバンドすごいなと思った。さすが結成15年目と思った。次々に送られてくるみんなの演奏と映像を見て、僕は部屋の中で、ちょっと泣きました。感動してね。

―バンド15年の絆が、3分ほどの映像と演奏に凝縮されていたと。素晴らしいですよね。

佐野:ありがとう。また曲がいいんだよ、すごく。自分で言うのもなんなんですけど(笑)。

―シンプルなのにとてもいい曲です。

佐野:子ども達とも一緒に歌えるような曲ですよね。

―歌詞も“いつか きっと 願いが叶うその日まで”といった感じでお子さんも一緒に口ずさめるような言葉ですしね。個人的には“私たちはきっと幸せになるだろう”の一節が琴線に触れました。

佐野:この曲は「私」の歌ではなく「私たち」の歌だ。特に今は自分のことと同じくらい同胞のことも思いやらなくちゃいけないと思う。コロナのことでこの先、困難な状況に陥る人たちも出てくると思う。そんな時、この歌のことをどこかで知ってくれたらいいなと思う。

―同感です。そして近い将来、ライブでこの曲をみんなで歌える日が来て欲しいですね。

佐野:そうだね。今回の「この道」は曲もムービーもしばらくの間、パブリックドメインとして、ネット上に置きます。なのでみんな気に入ったらカバーしてもらってもいいし、どういう風に形を変えてもらっても構わない。

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