辰巳JUNKが解説、今日のポップカルチャーを知るための25の新常識

左からビヨンセ、テイラー・スウィフト、ビリー・アイリッシュ(Photo by Larry Busacca/Getty Images for Coachella, Carrie Davenport/TAS/Getty Images for TAS, Mat Hayward/Getty Images)


9.
Side Business
スターの副業


定額制ストリーミング・サービスの普及により、以前よりも音源収入が減ったと目される音楽スターたち。そこで目立つようになってきたものがサイド・ビジネス、副業だ。さまざまな事業やコラボレーションが行いやすくなった環境変化もあるのだろう。カニエ・ウェストはadidasと組んだスニーカーおよびアパレル・ブランドYeezyで莫大な富を稼ぎ、ファッション界にも革命を起こした。2019年Forbesより「世界で最も裕福な女性ミュージシャン」認定を受けたリアーナにしても、当時はアルバム・リリースもツアーも長らく行っていなかった。化粧品や下着ブランドからなるFenty帝国あってこその頂点だ。トラヴィス・スコットやK-POPアクトなど、音源に数多の特典をつける「バンドル」商法も北米市場で標準化されている。


10.
Intellectual Property
IP(知的財産)


コンテンツ選択肢が膨大なとき、人を集めやすい大予算作品といえばなにか。すでに定着したブランド「IP」だ。ビデオ・ストリーミング・サービスと競うこととなったハリウッドの劇場映画産業では、2010年代、「IP」大作が新たな覇権を迎えた。『美女と野獣』といったリブート作品、そして『アベンジャーズ』を筆頭にしたスーパーヒーローたちこそ、このディケイドの王者だ。一方、中規模予算オリジナル作品は劇場から減っていき、Netflixなどのストリーミング含むTV界が「クリエイティヴな実験場」として機能するようになる。グローバルTV大作『ゲーム・オブ・スローンズ』からニヒルで憂鬱な社会風刺アニメーション『ボージャック・ホースマン』まで、名高い作品を輩出しつづけたこの黄金期を「Peak TV」と呼ぶ。




11.
Fourth-wave Feminism
第四波フェミニズム


テクノロジーを乗りこなし、包括性や所得格差の認識も更新された第四波フェミニズムのパワーを否定する人はあまりいないだろう。特にアメリカにおいては、ビヨンセからアリアナ・グランデまで、フェミニスト宣言が女性セレブリティのスタンダードになった。2017年に活性化した#MeToo運動は、ハリウッドから政治やスポーツ界、一般的な職場にまで広まっている。ハードなSFドラマ『侍女の物語』にスーパーヒーロー映画『キャプテン・マーベル』と、女性リードのヒット作の幅も大いに促進された。同時に、ジェイムス・ブレイクやブラッド・ピットなど、強さを是とする男らしさ概念を問い直す「トキシック・マスキュリニティ」問題に意識的な男性スターたちの活動も花開きつつある。


12.
Black Power
ブラックパワー


2010年代はブラックカルチャーなしには語れない。映画では『ブラックパンサー』が歴史級のメガヒット、音楽ではヒップホップが世界の頂点へと躍り出た。ファッションだってすっかりストリートだ。しかしながら、音楽シーンに敏感なRolling Stone Japan読者にとってはSoundCloudラップの威光も強力かもしれない。同サービスからは、レーベルなどの後ろ盾のない新生スターたちが誕生しつづけた。ひとつはリル・ナズ・XなどのSNSで話題を稼ぐバイラル得手スタイルだが、その一方、ポップなラップに反抗するかのようなオルタナティブ・アクトの影響ははかりしれない。カート・コバーンやパンクを愛した故XXXテンタシオンや故リル・ピープの魂は、ビリー・アイリッシュなど、ラップをしないアーティストにも受け継がれているはずだ。

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