過酷なICU勤務、生配信の音楽イベントがストレス解消に

スティーヴン・ウィンネット(Courtesy of Steven Winnett)



「すべてが不確かで不安を感じる状態に陥った」

引っ越したばかりの街での新生活に長時間労働と外出禁止が重なったウィンネットの気持ちは一気に落ち込んだ。「もともと非常にポジティブな性格だから、今回生まれて初めてネガティブな精神状態になり、すべてが不確かで不安を感じる状態に陥ったんだよ」と彼。そんなウィンネットを元気づけようと、友人たちが励ましのビデオを作り、それをアップロードして彼をZoomに招いたのが、現在のサイトの原型となった。

・心身ともに限界だったウィンネットを元気づけるために友人たちが作った動画

ライブ音楽業界は新型コロナウイルスで完全に閉鎖され、フェスティバルも、ツアーも、コンサートも、すべてキャンセルされており、再開の目処は立っていない。その穴を埋めるべく、多数のミュージシャンがオンラインでフェスティバル、イベント、コンサートを行うようになった。

ウィンネットが最初にチェックしたのがサンディエゴのDJマイキー・ライオンで、3月6日のことだった。そこで、フロアやフェス会場で体感する音楽を自宅で聴きながら元気になるという奇妙な体験をした。「ものすごく良い雰囲気だった。音楽も最高だったし、Zoomで友達の顔も見られてうれしかった。それに、一度も会ったことも見たこともない人であっても、彼らが居間や寝室で思い切り楽しんでいる姿を見るのも楽しかった。実態調査のようなものだったよ。自分は独りじゃない、一人ぼっちで隔離生活しているのは自分だけじゃない、みんなそうだ、でも今そんな状況で最善を尽くそうとしているってね」

「All Day I Stream」には様々な参加者が集まるという。ウィンネットのお気に入りのパーティー参加者の一人がGaleoteで、彼はZoomで6時間ずっと踊り続けた彫りの深い男らしい。「いくつものキャラクターがいて、どう説明したらいいかわからない。確立したユニークなキャラクターを持つ人たちがいて、それがライブ配信をもっと楽しくするんだ」

そして、そういった人々が、毎日病院に行って、N95マスクを着けて(彼は自分専用の個人防護具を持っている)、人工呼吸器と苦悩に囲まれた病室で長時間仕事するウィンネットに癒やし効果を与えてくれるのだ。彼の病院では患者が退院するとき、必ず「ドント・ストップ・ビリーヴィン」を流すという。しかし、彼は自分がICUでこの曲を聴くことは絶対にないと密かに承知している。それでも、彼は仕事場にベルを一つ吊り下げて、患者がICUを出るたびに仲間の医療従事者たちと一緒に祝いたいと願っている。ちなみに、彼は個人的なお祝いをするために可能なときはいつでも「All Day I Stream」にログインしているという。

ウィンネットが言う。「最終目標は年中無休で配信すること。平日はかなり難しいだろうけど。これから経済が復活したとしても、コンサートやライブ音楽というのは元の状態に戻るまでしばらく時間がかかるものだと、みんなも気づき始めていると思うよ」と。

Translated by Miki Nakayama

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