演奏の「遊び」を楽しむヴルフペック 「Cory Wong」徹底考察

「Cory Wong」は、コリーの名前がそのままタイトルになった曲です。マイルス・デイヴィスの「John McLaughlin」や「Mtume」といった曲を思い出しますね。ヴルフペックのリーダー、ジャック・ストラットンはコリーを紹介するときに、「彼の両親はヴルフペックの曲名に因んで子に名付けました。コリー・ウォン!」と冗談を言います。

2016年の『The Beautiful Game』に収録されたスタジオ版は彼らの言うところの「ロー・ボリューム・ファンク」なミニマルなサウンドです。スタジオ版ではあるものの、途中からライブ音源がカットインされます。ところどころ、おかしなシンセが重ねられていたり、どこまでライブ音源なのかよくわからないミックスで、ちょっと人を食ったようなところがヴルフペックらしいといえます。

「Cory Wong」の単音ギター・リフはちょっとミネアポリス・ファンク、というかプリンス的なところがあります。「1999」のような鋭角なリズムのファンクと言ったら良いでしょうか。またはザ・タイムの「777-9311」のカッティングも連想しました。

コリーの地元はプリンスと同じミネソタ州ミネアポリス。ミネアポリスにはバンカーズというライブが聴ける料理店があります。ドクター・マンボズ・コンボという昔ながらのR&Bをレパートリーにするハウスバンドが売りのお店です。 1990年代初頭にお店を訪れたプリンスがその箱バンのドラマーだったマイケル・ブランドをスカウトして、彼のニュー・パワー・ジェネレーション(NPG)に加入させたなんていうエピソードもあります。

コリーは学生時代にその店に足繁く通ったそうです。そのちドクター・マンボズ・コンボのメンバーと顔なじみになり、やがてボーリングで怪我をしてしまったギタリストの穴を埋めるために、バンドに加入することになります。コリーはそこでマイケル・ブランドと知り合ったそうです。ヴルフペックの「Hero Town」にはマイケル・ブランドが参加していますが、コリーがブランドをヴルフペックに紹介したようですね。ちなみに、NPGのメンバーだったベーシスト、ソニー・Tはコリーのソロ作に参加しています。

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