ビートルズ伝説の幕開け、『プリーズ・プリーズ・ミー』完成までの物語

ザ・ビートルズは、デビュー・アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』に収録された楽曲の大半を、一日のスタジオ・セッションでレコーディングした。(Photo by Hulton-Deutsch Collection/Corbis/Getty Images)


午後3時45分〜4時15分:「蜜の味」ヴォーカル・オーバーダビング

「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット」でのオーバーダビングは、マーティンとバンド・メンバーたちに何らかのヒントを与えたようで、続く1時間15分を、既にレコーディングした楽曲の仕上げに費やした。他のメンバーが休憩している間にマッカートニーは、「密の味」のヴォーカル部分2箇所のオーバーダビングに臨んだ。結果、“I will return…”の部分がよりリッチでドラマチックなサウンドに仕上がった。ビートルズは後のキャリアを通じて、このレコーディング・テクニックを多用することとなる。

午後4時15分〜4時30分:「ゼアズ・ア・プレイス」ハーモニカ・オーバーダビング

『ゼアズ・ア・プレイス』のイントロ部分は当初ハリスンがギターで弾いていたが、インパクトに欠けると思われたためマーティンは、レノンにハーモニカでリフを吹いてみることを提案した。この手法は、バンドの初めの2枚のシングル「ラヴ・ミー・ドゥ」と「プリーズ・プリーズ・ミー」ですでに素晴らしい効果を発揮しており、レノンもそれに従った。既にレコーディング済みのテイク10に加え、さらに3テイクを要し、テイク13で上手くハリスンのギター・パートを埋めることができた。

午後4時45分〜5時:「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」ハンドクラップ・オーバーダビング

群衆が一斉に揃ってドンドンと足を踏み鳴らした時の迫力を再現するため、マーティンはアルバムのオープニング曲となる「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」にハンドクラップを加えることを要求した。メンバーが1本のマイクの周りに集まり、その日の初めにレコーディングした中で最も力強かったテイク1を流しながらトライした。しかし最初のバージョンはボリュームのトラブルでボツになった。これに対してメンバーは嬉しそうにブーイングの声を上げ、マッカートニーは、映画『ハード・デイズ・ナイト』で聞かれるのと同じ「keep Britain tidy(イギリスをきれいにしよう)」という無関係な言葉をジョークとして飛ばしている。次のテイクでOKが出て、同曲のレコーディングはテイク12で完了した。

Translated by Smokva Tokyo

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