ピエール中野と手島将彦が語る、現在の音楽業界に必要なメンタルヘルス

―プレイヤーとしての信頼に関わるという話がありましたが、そこまで影響が出てしまうんですね。

中野:弱音を吐くと離れていくファンもいるんですよ。そんな精神的に弱い人についていけませんみたいな。傷つけて去っていくので怖いですよね。

手島:以前、元ZIGGYのドラマーで24時間対応のウェブ対面式のカウンセリングを行なっている大山(正篤)さんと対談させていただいたんですけど、同じような事を仰っていました。

中野:やっぱり表裏一体なんですよね。あとはSNSでファンのふりをして単に批判をしたいだけの人もいて、そういう人が混ざってくると大きな負の渦ができてくる。それに巻き込まれないように気をつけようねって僕も何年も前から言っているんです。色々試すんですけどなくならないし、やっぱりどんどんダメな渦に巻き込まれてしまう人が増えてしまう。

ーその中でも中野さんはSNSでも恐れずに発言されていると思います。それはどういう理由からされているんでしょう?

中野:今どういう状況になっているのか、その仕組みを知りたいっていうのが大きいかもしれないですね。こういう発言をしたらどうなるかっていうことも時代によって変わるじゃないですか。自分でどんどん発信して、それに対して皆がどういう反応をするのか、他のミュージシャンの使い方も見ている中で、それは危ないから止めた方がいいかもよっていう連絡もたまにしています。もちろん僕自身も落ち込むことがありますよ、人柱ですね(笑)。


ピエール中野(凛として時雨)

ー本当に困っている人ほど他人に相談できないこともあるじゃないですか。近くに中野さんのような方がいらっしゃらない場合、どうしてあげたらいいのかなって思うんです。

手島:ちょっと話は大きくなってしまうんですけど、基本的には世の中や周りの人々に「助けて」って言いやすい雰囲気にならない限り、困っている人はなかなか言えないですよね。だから、まずは世の中や周りが変わっていかないといけない。まして、助けてって言うことでマイナスな雰囲気になるようであれば、彼らも絶対言えない。でも、そもそも人に何かを相談することは間違っていないし、やっぱり思ってることを言える社会にしたいですよね。

中野:僕もそう思います。TwitterでのDMやInstagramのストーリーでも、僕に関わることじゃなくても、何かあれば吐き出してほしいってずっと言っているんです。個人レベルでそういう試みはしていますが、やっぱりちゃんとした場所が必要だなって思います。

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