メタリカのラーズ・ウルリッヒが選ぶ、最強のメタル/ハードロック・アルバム15作

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン『The Battle of Los Angeles』(1999年)


レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンは全アルバムが必聴だ。最初の2枚には若さと凄まじい反社会的エネルギーが宿ってるけど、曲の出来と完成度っていう点ではこの3作目に分があると俺は思ってる。彼らのポテンシャルが完全に発揮された、文句なしの傑作だ。

『バトル・オブ・ロサンゼルス』のサウンドはものすごくピュアだ。フィルターが一切なくて、衝動的で本能のようなものを感じさせる。当時のハードロックのレコードは、細部まで作り込まれたものが多かった。俺たちの作品も含めてね。そういう手の込んだものとは対照的に、このアルバムからは世界を敵に回す覚悟を持った4人の男たちが、同じ部屋で一緒に音を出している姿が見えてくる。全体の統一感もバッチリだ。「テスティファイ」から始まり、「カーム・ライク・ア・ボム」やディープな「スリープ・ナウ・イン・ザ・ファイアー」へと流れ、さらにディープな「ヴォイス・オブ・ザ・ヴォイスレス」のような曲もある。正真正銘のモンスターアルバムさ。ザック(・デ・ラ・ロチャ)のシャウトには、目の前で訴えているような切迫感がある。リスナーが自分のことを歌っているように感じるっていうのは、あらゆる歴史的名盤に共通して言えることなんだよ。




システム・オブ・ア・ダウン『Toxicity』(邦題:毒性、2001年)


システムは最初のアルバムもヤバかった。(プロデューサーの)リック(・ルービン)の手腕もあって、誰も聴いたことがないサウンドを確立した。その時点で俺は彼らがアルメニア出身だってことを知らなかったけど、彼らのルーツやバックグラウンドが他のバンドとは決定的に違うことは明らかだった。でも本当に衝撃を受けたのは、2ndアルバム『毒性』に収録されてる「チョップ・スイ!」を聴いた時だった。

まずあの曲がMTVやラジオで流れ始めて、「トクシシティー」や「エリアルズ」がそれに続くと、俺はあのアルバムにハマり始めた。「奴らは牢獄を作ろうとしてる / お前と俺を共生させるために」っていう歌詞には、彼らの政治的なスタンスがにじみ出ていた。風変わりでエネルギーに満ちてて、ソングライティングの面でも隙がなかった。俺たち自身、彼らからは大いに影響を受けたよ。あんな風に曲をすごく簡潔にまとめることが、俺たちは苦手だったからね。ロック史上に名を残す、掛け値なしの名盤さ。


Translated by Masaaki Yoshida

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