メタリカのラーズ・ウルリッヒが選ぶ、最強のメタル/ハードロック・アルバム15作

マーシフル・フェイト『Melissa』(1983年)


マーシフル・フェイトは俺たちにとってものすごく重要な存在だ。メタリカもそうだけど、アンダーグラウンドのハードロックバンドの多くが彼らを手本にしてた。これは彼らの正式なデビューアルバムで、俺たちも含めた後世のバンドに与えた影響の大きさは計り知れない。俺らは彼らと仲が良くて、リハスタで一緒に音を出したり、あちこちで対バンしたりしてた。(メタリカの)『ガレージ』アルバムのひとつでは、彼らの曲だけのメドレーをやってる。バンドにはギタリストが2人いて、豊かなハーモニーをはじめいろんなことを試みてた。中にはすごく長い曲もあって、「セイタンズ・フォール」は10分以上あったんじゃないかな。

彼らのライブはマジでヤバかった。(フロントマンの)キング・ダイアモンドは、曲を始める前に主の祈りを後ろから読み上げるんだ。彼は儀式的なものにすごく入れ込んでて、曲を演奏しながらガチョウの羽を撒いたりしてた。ものすごくいいヤツなんだけどね。俺たちは新鮮でオリジナルな彼らの音楽が大好きだったし、人柄も最高だった。長い間、彼らは俺たちにとって兄弟のような存在だったんだ。




モーターヘッド『Overkill』(1979年)


俺がモーターヘッドのことを知ったのは1979年の春だった。その日、俺はデンマークのコペンハーゲンにあるレコード店を覗いてて、店員にモーターヘッドってバンドの曲をかけてみてくれって頼んだんだ。それで耳にしたのが、フィル・テイラーの2バスで始まる「オーヴァーキル」だった。あんな曲は過去に聴いたことがなくて、完全にぶっ飛ばされたよ。しかも冒頭のエネルギーが、最後までまったく衰えないんだ。レミーのヴォーカルはものすごく新鮮だったし、パンクとロックとメタルのフュージョンのようなサウンドが最高にイカしてた。アニメを思わせるような極端な歌詞も、曲のエネルギーに見事に華を添えてた。

その「オーヴァーキル」から始まり、長年にわたってライブの定番曲だった「ステイ・クリーン」、「(アイ・ウォント)ペイ・ユア・プライス」、ZZトップも真っ青の「ノー・クラス」、メタリカでもカバーした「ダメージ・ケース」、長めでディープな「メトロポリス」や「リム・フロム・リム」まで、一貫性も満点だ。マジで恐るべきレコードだよ。モーターヘッドはロックだけじゃなく、プログレやポップ、パンク、スカ(俺は聴かないけど)等、あらゆるジャンルのファンから愛されるバンドだった。彼らの作品の中で俺のお気に入りを挙げるとすれば、間違いなく『オーヴァーキル』だ。


Translated by Masaaki Yoshida

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