The 1975も魅了した日本人、リナ・サワヤマが発信する歪んだ社会へのメッセージ

リナ・サワヤマ(Courtesy of avex)


パンセクシュアルであること、自分自身を愛すること

―2年ほどの前のインタビュー記事では、リナがパンセクシュアルであることに対して、ご両親は完全に理解して受け入れてはいない、といったことをおっしゃっていましたよね。今はどうですか?

リナ:そのことについて父とはあまり話してないんですけど、母は確実に理解してくれていますね。母は、インテリアデザイナーという仕事柄、普段からクリエイティブ系のコミュニティにいて、周りにLGBT+の人たちもいるので、「LGBTってなに?」みたいな感じではなかったんです。ただ、「パンセクシュアル」についてはいろんな疑問があったみたい。なんにせよ、日本では家族と性について語ることってあまりしないから、もともと私のセクシュアリティについて話すことがほぼなかったんだと思います。少なくとも、私の経験としてはそうでした。でも、私がカミングアウトしてから、母はいろんなものを読んで自分で学んだみたいで、それはとても嬉しかったですね。

―あなたのお母さんは、とても美しい方のようですね。

リナ:うん、その通り。母のことはとてもリスペクトしています。








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―2018年9月にリリースした「Cherry」でパンセクシュアルであることをカミングアクトし、嘘や誤魔化しをせず自分を表現できるようになったことで、生きやすくなった部分もありますか?

リナ:うーん、曲をリリースする随分前からプライベートではカミングアウトしてたから、そこまで大きくは変わらなかったかな。ただ、あの曲を出したあとにもらったメッセージは、すごくスペシャルなものでした。あの曲を聴いたことで生きやすくなった人がいるんだ、って。誰かの心に触れることができたなら、あの曲を出したことは大きな成果だったと思えます。

―なぜ、アーティストとして世間にカミングアウトしようと決意できたのでしょう。

リナ:ストレートのソングライターが自分のストーリーを書いてラブソングを歌うのと同じように、私は私のストーリーを書いただけ。だから「Cherry」を書いて、カミングアウトしたのは、特別難しいことではなかったですよ。



―日本でもLGBT+に対する寛容性が広がり、カミングアウトするアーティストが増えれば、アートやポップミュージックはより豊かになるかもしれない。そんな可能性はあると思いますか。

リナ:アートにおける豊さとはなにかと言うと、正直さ、真正さ、多様性だと私は思っているんですね。だから、アーティストが自分に正直に、オープンになることは本当に大事だと思います。アーティストは自分のストーリーを伝える責任があるし、もし正直に語れてないのであれば、それは誠実ではないと思う。だから私は自分のストーリーを正直に書こうと思ったんです。日本もそういった表現が増えると、文化における多様性が生まれるかもしれないですよね。ただ私自身はとても幸運だと思っていて。というのも、道端とか公共交通機関で、通りすがりの人からゲイの見た目をイジられて暴行を受けた友達もたくさんいるんです。私はそういう危険にはさらされていないからこそ、自分のことを正直に表現できているんだ、ということもわかってます。

―アルバムには「Chosen Family」という曲もあります。「Chosen Family」とはなにか、リナの口から教えてもらえますか。

リナ:私が学んだなりに話すと、「Chosen Family」とは……クィアカルチャーの中で、家族にカミングアウトをすると家から追い出される人もいて。実際、私の友達にも、まだ若いときに家族にカミングアウトしてホームレスになった子がいます。「Family=家族」というのは支えであるという考え方もあるし、失うとタフな状況に陥ることもありますよね。だから「Chosen Family」は、そういった人たちをサポートし、無条件に愛を与え、その人が自分自身を素直に表現できる場を作るためのコミュニティです。私にも「Chosen Family」がいて、とても愛してるから、純粋に曲を贈りたいと思ったんです。それに、家庭に問題があっても大丈夫だよ、ってことをリスナーに伝えたかった。他にサポートしてくれるコミュニティやフレンドシップがきっと見つかるから、って。



―最後に、リナはなぜ自分のことを愛せるようになったのか? 自分を愛せてない人たちにはなにを伝えたいか? 教えてもらえますか。

リナ:まずは自分を知ること。そしていろんなことに対して心を開くこと。他者、本、メディア、なにからでも「学ぶ」という行為は、自分の視野を広げてくれます。あと、セラピーは私にとって大きかったし、このアルバムを作ったことも私にとってセラピーのようでもありました。というのも、自分の感情に言葉をつけること、感情を表現するのに適切な言葉を見つけることで、自分を理解できるところがあると思うから。なので、もしなにか自分の人生でしんどいことがあったら、まずはセラピーから始めることをおすすめします。だって、まずは自分のことを知らなきゃ、自分を愛すことはできないですからね。

あ、自分のためにブランド物とか高い車とかを買ってお金を浪費することは、「自分を愛する」とは違うから気をつけてね。それはただの資本主義者だから(笑)。「自分を愛せる人」というのは、部屋にひとりでいられる人のことを言うんだとも思う。退屈だからってすぐSNSを見たり、なにかの情報に邪魔されたりするのではなくてね。外出禁止の今はまさに、それが試されている時期でしょうね。








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『SAWAYAMA』
2020年4月17日配信リリース
※日本版CDパッケージ発売は延期
視聴リンク:https://avex.lnk.to/rina_SAWAYAMAWE
日本公式サイト:https://avex.jp/rinasawayama/




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