星野源が自宅から語る、「うちで踊ろう」の真意とこれからの過ごし方

星野源(Courtesy of SPEEDSTAR RECORDS)


「うちで踊ろう」のアイデアが閃くまで

ーでも実際、多くのミュージシャンが「自分たちは何をやればいいんだろう?」と悩まざるを得ないなか、「うちで踊ろう」が公開されてから、「こんなやり方があったのか!」と驚いたり勇気づけられたりした人が大勢いると思うんですよ。

星野:うんうん。

ーこの曲のアイデアをどのように閃いたのか、改めて教えてもらえますか?

星野:3月後半に、土日2日間の外出自粛があったじゃないですか。その辺りから何かできないかと考え始めました。世界の状況を見ても、もう少ししたらもっと長期で外出できなくなるだろうから、家の中に居ても面白がれる仕組みってないかなって。その後ドラマ撮影が止まって、次の日の4月1日からまた改めて考え始めて「あ、これ歌でできるな」と思いついて、4月2日に曲を作り始めて、その深夜にInstagramにアップしました。僕が歌を作って、それを動画として載せる。そこに楽器、歌、ダンス、アニメーション、どんな形でもいいから僕の動画を引用してそれを重ねる、もしくはカバーする、それにインスパイアされたイラストを載せる……そんなふうにできれば、どれだけ離れた場所にいても“重なり合う“ ことができる、と考えたんです。

ー“僕らそれぞれの場所で 重なり合うよ”という歌詞には、そんな背景もあったんですね。

星野:そうですね。僕は、昔から「みんなでひとつになろう」的な言い方が好きじゃないんです。人と人はひとつにはなれない。死ぬまで1人だと思う。でも、手を取り合ったり、想いを重ね合うことはできる。そこに一つの大事なものが生まれるんだと思うんです。「ばらばら」という曲でも(2010年作『ばかのうた』収録)、“重なり合ったところに たったひとつのものがあるんだ”と歌いましたし。



ー“世界はひとつじゃない ぼくらはひとつになれない”けど、どこかしら重なることはできる、ということですね。

星野:だから今回、重ね合うことでみんなと繋がってる感覚になりつつ楽しめるもの、多様なアプローチができるもの。そういうことをこの一曲でやろうと思ったんです。 “重なり合えそうだ”と歌ったり、歌に合わせて表現したりすると、実際に自分たちが重なってる感覚になるんですよ。インスタのフィードってちょうど1分間ずつしかアップできないので、1分で完結する歌にしなきゃいけないっていう制約も楽しかったですね。

ーあの動画はiPhoneで録画したんですよね?

星野:そうです。

ーそこも大胆ですよね。世の中の状況やご自身の影響力なども踏まえつつ、「自分がやらなければ」という使命感みたいなものはあったりしたんですか?

星野:世間に対する使命感はあまりなかったです。さっき話したようなアイデアを思い付くと、こんなふうに(手を動かしながら)ゾーンに入っていくんですよ。で、そうなったら音楽家として、自分がやりたいことや面白そうと思ったことは実現しなければならないというか。この面白いことを他の人はまだやってなくて、すぐにでも俺がやらねばならない……というより、俺がやる!っていう(笑)。そういう集中力みたいなのはありました。

ーなるほど。

星野:実際、前例がないから、どれぐらいの反響になるのかわからないし心配してもしょうがないなって。現在のような状況は理想的には思い描いていましたけど、今は「ここまでだろう」っていうのが毎日塗り替えられていくような感じ(笑)。昨日(取材前日)の深夜に、オルケスタ・デ・ラ・ルスの皆さんが上げてくださった動画も驚いてブチ上がりましたね。



ー11人編成による賑やかなラテン・バージョン。

星野:感動しました。あの大人数がそれぞれの家で録ったのも労力ハンパないし、それが「重なり合って」ひとつの動画になってることが、コンセプトをこれ以上なく示してくれていて。見てるほうも楽しくなるし、演奏してるみなさんも楽しそうにやってくださっていたので、嬉しかったです。

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