米国最大のインディペンデントプロモーターが語る、コンサート業界の行方

「新たな情報が入ってくるのは5月4日か5日頃でしょう」

ー数多くのイベントの開催日程を迅速に再調整することは、大変な苦労を伴ったと思います。

サンフランシスコとベイエリアは、事態への対処が早かったんです。私たちはサンフランシスコ市が所有するBill Graham Civic Auditoriumを運営していますが、市側からそこを使用しないようにという通達がありました。その頃、NBAのウォリアーズはそこで試合を行なっており、またテーム・インパラのコンサートが直後に控えていました。市は彼らのライブの前日に会場の閉鎖を決定し、その後はウォリアーズの試合はもちろん、ありとあらゆるイベントが中止されました。ほどなくして、ベイエリアの全住民に対して外出の自粛が求められました。市の対処は迅速でしたね。

その時点で私たちは、予定されている全イベントの開催が不可能であることを悟りました。予定されていたショーの数は100〜120ほどで、その8割が延期または中止になりました。私たちは在宅勤務しながら、チケット保有者へのイベント延期または中止の連絡や、マーケティングプランの変更等の作業に追われたため、以降の数週間は多忙を極めました。今は7月に状況がどうなるかを見極めようとしているところですが、5月4日か5日頃まではアップデートは期待できないでしょう。新しい情報が出れば、7月や8月のイベント開催の可否が判断できるはずです。

秋に予定されている数々の大規模ツアーも影響を受けており、現在では多くのアーティストが来年まで延期することを検討しているようです。数週間前の時点では、春に予定されていたイベントの延期により、秋の予定がすし詰め状態になると考えられていました。対処しきれないほどのイベントが行われ、カオス状態になるだろうと予想していたんです。同日に多くのイベントが開催されると、客の奪い合いが起きてしまいます。私たちは今後数週間で、アリーナまたはスタジアム級のツアーどうなるのかを見極めるつもりです。秋に予定されているシアター規模のイベントの多くは、政府高官の見解通りになると考えられます。

ー市長の側近たちとのミーティングはどういった様子でしたか?

現在敷かれている外出禁止令は(ベイエリアでは)5月3日まで継続されることになっており、カリフォルニア全土でも同様の措置が取られています。この街の人々は、事態の深刻さをよく理解しています。一方でフロリダやテキサス、テネシーなどの状況を見ていると、1人1人の行動がもたらす影響について分かっていないと思いますね。

Translated by Masaaki Yoshida

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