松隈ケンタ、Buzz72+再始動を語る「BiSHをはじめ、いろんなことが過去と現在で繋がってる」

ー井上さんはBuzz72+を脱退してから、当時をどう振り返っていたんですか?

井上:もっとこうしたらよかったかもって思っていたし、皆のことも気になっていました。当時から松隈は作りたい音楽にまっすぐで、でも僕としては理解できない部分があって。ステージ上の立ち振る舞いやMCに関しても、いつも皆にダメって言われ続けている感じがしたんです。相手が何を変えて欲しいのか、本質の部分が自分でもよく分かっていないし、色々なものが溜まって逃げ出したのかな。

松隈:僕も伝えることが下手だったし、何を言ってもやってくれないハルさんを見て、彼はもうバンドが嫌なんじゃないかなって疑心暗鬼に感じていました。蟠りがあるとマネージャーが間に入ってくるんですけど、これが更にこんがらがる原因にもなって。最終的にハルは脱退、バンドも事実上解散。こちらも辞めた人に興味を持っても意味がないと思ったし、過去を振り返っても辛かった。でも、『ボヘミアン・ラプソディ』を観て気持ちがちょっと爆発した感じですね、13年経ってハルが戻ってきたら、きっと面白いなって。



ー井上さんはこの13年間、どんな活動をされていたんですか?

井上:たまにライブもしていたんですが、フリーランスでボイストレーナーもやっていました。 僕がBuzz72+を辞めた一番の原因が、喉を潰したことなんです。歌えないし、高い音も出なくて自己嫌悪になり、ステージに立つのも怖くて冷静な判断もできず逃げ出したんです。もしあの時、喉の調子が良かったら、そんなに落ち込んでいなかったんじゃないかなと思って、そこから独学で喉を潰さない歌い方を学び始めました。その中で、すぐ喉が潰れちゃう後輩がいて、その子達にレクチャーしていく中でボイストレーナーという道を見つけたんです。歌を上手く歌うとかプロデュースではなくて、身体の使い方や楽に歌える方法を教えています。

松隈:ハルが喉を潰してバンドを辞めざるを得なくなったっていう話は、僕にも影響があって。BiSHのアイナ・ジ・エンドが何年か前に喉潰れそうになっちゃった時に、声が出なくなったハルと被ったんです。スタッフも混乱するし、本人も気が滅入ってたんですよ。僕も当時のハルに大丈夫だって言ってあげられなかった分、アイナをずっと励まし続けて。本人は歌わないといけないって思っているし、僕まで責めちゃったらもっと悪化するんじゃないかって色々考えました。ハルの時も、リリースもあるし歌ってもらわなきゃ困るってプレッシャーを与えていた部分もあったかもしれない。なんかこういうところも繋がっているんですよね。

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