松隈ケンタ、Buzz72+再始動を語る「BiSHをはじめ、いろんなことが過去と現在で繋がってる」

ー井上さんはハードロックがお好きですよね。松隈さんの書くJ-POP的で分かりやすいメロディを歌うってどんな感覚だったんでしょう?

井上:昔からカッコいい音楽に憧れていていたので、松隈がやっていたポップな要素に対しても、もっとカッコよければ良いんじゃないかなって思っていました。でも、楽器をかじっていない人にストンと入ってくる心地良さもあって。13年ぶりにもう一回聴き直すと、シンプルで良い、かっこいいよりも染みる良い曲だなって思うんです。一方、僕はハードロックの背景もあるので、同じメロディを歌っていても根本にあるものが全然違うじゃないですか。だから今回のミニアルバムでは、ちゃんと僕らが同じもの、グルーヴを感じているのかという部分を話し合いながら歌えたのがすごく面白かったです。



ー松隈さんは当時、どのように楽曲制作をしていたんですか?

松隈:パソコンがなかったので、MTRを使っていましたね。我々の曲作りは当時から一緒で、演奏陣がスタジオでトラックを作って渡したり。逆に4人でセッションして好きに出した音から、俺がトラックを作ってメロディを入れたりもします。俺がアコギを弾きながら歌った曲を渡すことはあまりないですね。

井上:当時と今で変わっていないのは、ドラムから作るっていうことですね。最初がドラムだから完成形が見えないんですよ。

松隈:皆も完成形が見えないまま弾いて、俺が違う! って言うけど、何が違うかも分かんない(笑)。ベースとドラムだけだし。その後、俺がギターと歌を入れてきて皆がやっと完成形を分かるっていう。

ー当時から今のソングライティングとプロデュース哲学の原型があったんですね。

松隈:似ている感じはあります。ただ当時は歌に関して修正する技術も機材もなく、リファレンスを伝える術も弱かった。ハルは勿論ボーカリストの哲学があって、一方の僕は作曲的に歌を考えていたので、そこも噛み合っていなかった。スティーブン・タイラーっぽく歌ってとか言うとハルはすぐできるんでしょうけど、僕は例えば、ドとミをしっかり繰り返してっていう伝え方をするので。

井上;全体像が見えた上での松隈のディレクションと、歌しか見えていない自分の癖のぶつかり合いは当時あったと思います。今はちゃんとしっかり訊いて、伝え方も上手になっていますね。

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