劇伴作家でありアーティスト、澤野弘之が語る創作の裏側

SawanoHiroyuki[nZk]プロジェクトがスタートしたきっかけ_

―そもそも、『プロメア』は映像と音楽の距離が近いというか……ほぼ全編を通して澤野さんの音楽がフィーチャーされているような作品でもありました(笑)。

(笑)。今石洋之監督や音響の方々が、すごく面白い形で音楽をはめこんでくださって。もともと映画の場合、先に映像があって、その尺に音楽を合わせてつくることが多いんですが、僕の場合は映像が出来上がる前にメニュー表から音楽をつくって、それを好きなようにつかってもらおうと思っていて。『プロメア』もその方法だったので、「Inferno」も劇中のいろんな場所で流してもらえたのかな、と思います。僕自身が映像に合わせて音楽をつくっていたら、「『Inferno』が何回も流れるのはナシだろう」って、自分で制御したと思うんですよ(笑)。そういう意味でも、いろんなことが上手く作用して、いい形にしていただけたと思います。



―他にDISC1で印象的だった楽曲はありますか?

他には、Aimerさんとの「StarRingChild」も印象的です。このときは、同時にAimerさんとSawanoHiroyuki[nZk]:Aimer名義で『UnChild』というコラボレーションアルバムをつくっていた時期でもあって。サントラの挿入歌ではない形でボーカル曲をつくったり、アーティストの方のプロデュースをすることに繋がっていったのが、この辺りの時期でした。そういう意味でも、この曲は後に「SawanoHiroyuki[nZk]」をはじめるきっかけになった曲のひとつですね。



あとは、Survive Said The ProphetのYoshさんにサウンドトラックの挿入歌として初めて歌ってもらった「Barricades」。この曲は、ワンリパブリックのような打ち込みとロック・サウンドを融合させたものをつくりたいと思っていて、後ろで鳴っているシンセの音色も、その辺りに少し影響を受けていた気がします。『進撃の巨人』のテーマとしてつくっていったと当時に、ライブをしているときにお客さんとシンガロングできたらいいな、と思っていた曲でもあって。Zeppでのライブのアンコールのときに、コーラスの部分をずっと繰り返していたら、お客さんが一緒に歌ってくれて――。そのときに、それまでとはまた違う景色というか、ライブでのまた違う高揚感が感じられた曲でもありました。



―そしてDISC2には、SawanoHiroyuki[nZk]の楽曲がまとめらています。もともと、このプロジェクトはどんなふうにはじまったものだったんでしょう?

サントラの挿入歌では基本的に英語詞を作詞の方にお願いしてきましたし、自分自身に作詞家のようなスキルがあるわけではないんですが、挿入歌を手掛けていくなかで、自分の中にも詞として表現したいことが出てきていたので、それを試せるのがこのプロジェクトなんじゃないか、と思っていました。この名義での最初の曲は、mizukiさんとの「aLIEz」で、当時自分が追求したかったロック・サウンドを形にできた曲だと思います。それとこの曲の場合、去年上海で二度目のライブをしたときのことが、何よりも印象的でした。以前から、中国では「aLIEz」が人気だという話は聞いていたんですが、去年mizukiさんと一緒に会場で「aLIEz」をやったら、お客さんの反応がものすごかったんです。イントロが鳴った瞬間に、会場がワーッ!!と盛り上がって、ものすごく感動しました。SawanoHiroyuki[nZk]のはじまりの曲としてもともと思い出深かった曲が、何年か経った後に中国の会場で盛り上がってもらえている風景を観て、「やっぱり自分にとって重要な曲なんだな」とあらためて気づいたというか。それもあって、今回のDISC2の1曲目に選んだところもあったと思います。



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