コロナ危機をチャンスに変えるTikTokの若きスターたち

TikTokのコラボハウスSway Houseでは、メンバー6人全員で自主隔離中(Courtesy of Sway House)

「みんな退屈してスマホ三昧」と、とあるTikTokスターは言う。「SNSに何か投稿するくらいしか大してやることがないんだもの」

2人のハンサムな10代の少年、そのうち1人は上半身裸で、DripReportの「Skechers」に合わせてエネルギッシュに踊る。ヤシの木とルネッサンス風の化粧漆喰の建物をバックに、金髪のカールを揺らしている。

平和な青春の一コマ、2020年版のフランキー・アヴァロンとアネット・ファニセロのビーチパーティー映画といったところだ。これが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの最中に投稿された動画であることにすぐに気づかなくても、致し方あるまい。

@thehypehouse

I like your skechers @jameswrightt @jack.wright

♬ Skechers - DripReport


2人の少年は、ジャックとジェイムズ・ライト。16歳の双子の兄弟は、約20人の若くて活きの良いTikTokスターから成るクリエイター集団、L.A. Hype Houseのメンバーだ(実際にシェアハウスで常時生活しているメンバーはごく数人)。Hype Houseのメンバーはグループ全体の人気や話題を最大限に活用するべく、共同でコンテンツを作成している。共同設立者の1人が商標権訴訟を起こしたため、今は裁判沙汰に巻き込まれているが、L.A. Hype Houseの人気にあやかって似たようなグループがいくつも誕生した。6人のTikTokスターから成るSway Houseもそのひとつだ。

2つのコラボハウスのある米カリフォルニア州では、不必要な外出は避けて自宅待機するように、というギャビン・ニューサム州知事の封鎖命令により、4000万人の住民が移動を制限されている。俗世から離れた場所で撮影した写真が命のインフルエンサーにとって、これは大惨事だ。Instagramを主な収入源にしているインフルエンサーの場合、撮影のためにメイクアップアーティストやスタイリストを家に呼ぶのはいつものことだが、それも隔離中は無理な相談だ。

だがTikTokのようなストリーミングプラットフォームでは、大勢のZ世代のスターたちがバスルームのような狭い部屋で、スウェットにスポーツブラ姿で最新の音楽に合わせて踊っている動画をアップロードするだけで、数十万ないしは数百万ものいいねを稼ぐことができる。クリエイターたちも身をもって加速する勢いを体感しているようだ。恐らく理由のひとつは、数百万人のティーンたちが強制的にオンライン授業を受けさせられつつ、こっそりSNSのフィードをスクロールしているからだろう。

「全員のTikTokがどんどん伸びてる。凄まじい勢いだよ」と言うのは、Sway Houseの住人ジョッシュ・リチャーズだ。彼のYouTubeチャンネルは60~70%も再生回数が増加したという。「夏休みみたいなものだよ――みんな学校に行ってないけど、ビーチにも行けないから、他に気晴らしの方法がないか探してるんだ」

Translated by Akiko Kato

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