コロナ危機をチャンスに変えるTikTokの若きスターたち

コラボコンテンツの弊害

多くのクリエイターたちは事前に撮り溜めしているため、この先も投稿を続けられるだけの十分なストックがある。Hype Houseのメンバー、グレッグがPR動画の撮影のために最後にシェアハウスを訪れたとき、メンバー全員がすぐには投稿しないコンテンツを撮影していた。共同生活をしていないメンバーは今後自宅で自主隔離することになるため、しばらくはコラボレーションできなくなると知っていたのだ。

撮り溜めしたコンテンツを後から投稿すると、弊害として、クリエイターが感染防止ガイドラインをきちんと守っていることが伝わりにくくなる。「何度か『おいおい、お前ら一緒にいるじゃないか』ってコメントされているのを見たよ」と言うジョンソンは、最近Hype Houseのメンバー、ディキシー・ダミリオと共演した動画を投稿したばかりだ。「で『違うんだ、これは昔の映像なんだ』って言わなきゃいけない」 ニューサム州知事が自宅待機指示を出した日、19歳のTikTokスター、アディソン・イースタリングがジェイソン・デルーロと撮影したTikTokを投稿した。いつ撮影されたものか定かでなかったため、世間と同じようにソーシャル・ディスタンシングをちゃんと実践しているのか、というコメントが大勢のフォロワーから殺到した(デルーロ、イースタリングからコメント取材に対する返答は得られなかった)。

だがジョンソン曰く、コメントは概ね以前とそれほど変わらないそうだ。「TikTokユーザーの子供たちは、大人とは(ソーシャル・ディスタンシングについて)考えが違うんじゃないかな」と彼は言う。「どんな効果があるか、わかってないだろうからね」

@avani

IM SO BORED screen time said

♬ yike or die remix - sydneybourne_


自宅待機対策が続くことで、クリエイターたちの計画の多くはいったん白紙に戻されている。Sway HouseとHype Houseは今年ツアーを計画していたが、いずれもウイルスのために無期限で停止することになった。インフルエンサーの聖地コーチェラをはじめとするイベントの延期、という残念なニュースも飛び込んできた。ジョンソンによれば、ブランドとのPRコラボも、新型コロナの影響で相当ダメージを受けているという。「ブランド各社とも、今は苦労してるんだよ」と彼は言う。「ちょうど今、彼らは大きいことに手一杯で、クリエイターとのコラボには手が回らないんだと思う」

とはいえ、ストリーミングプラットフォームの収益は閲覧回数がすべて。損失をカバーするだけの十分な収益を得られていると彼は言う。すでに『バチェラー』の人気者タイラー・キャメロンとInstagramライブをやるなど、直接対面せずとも他のインスタグラマーとコラボする道もすでに確立済みだ。

グレッグの推測によれば、Instagram、Twitter、YouTubeなど、多くのソーシャルメディアで彼女のコンテンツのエンゲージメントは25%近くも上がったという。「みんな、誰かが投稿するのを待っているのよ」と彼女は言う。「スマホとにらめっこして、ひたすら待っているの」

Translated by Akiko Kato

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