TikTokで流行中の「ホラーみ」あふれる不気味な動画

Photo by Global Trade Ave Inc./Amazon

BonskinnyのTikTok動画は、タンクトップに短パン姿の若い女性がDie Antwoodの「Pitbull Terrier」やICPことInsane Clown Posseの「Great Milenko」といった様々なヒット曲に合わせて踊る、といったものがほとんどだ。ここまでは他のTikTok動画と大差ないが、ただひとつ違うのは、Bonskinnyが巨大な恐ろしいピエロ風のマスクを被っていること。真っ赤な髪を振り乱し、額には“I like sweets(スイーツが好き)”と筆記体で書かれている。

Bonskinny、通称Bonnieのコンテンツには、マスクを取った姿はひとつもない。見たところ、ピエロのペニーワイズや、話題を集めたオンラインチャレンジMomoのキャラクターの親戚といったところだ。だが実のところ、彼女のアカウントが恐ろしいのはマスク(Amazonで5ドル99セントで購入可)のせいではない。BonskinnyのTikTokやInstagramには、しばしば老朽化した地下室と思しき場所が登場し、“Mr. Guy”や“Mr. Man”と呼ばれる父親のような存在に育てられていることを匂わせる、極めて不可解なコンテンツが投稿されている。とある動画では、Bonnieがバスルームと思しき場所でドアを叩き、耳障りな叫び声でここから出してと懇願する。別の動画では血だまりの中に立ちすくみ、シャワーを浴びている。時たま胸や腕に傷を負っていることもあり、傷の真偽を巡ってコメント欄で激論が交わされている。こうした投稿がマカロニ・アンド・チーズを作るとか、ICPに合わせて踊るといった無邪気なコンテンツに挟まれているものだから、なおのこと不気味だ。

BonskinnyのTikTokのフォロワーは9万人――なかなかの人気だ。フォロワーの多くは純粋な(あるいは、ソーシャルメディアではよくあることだが、冷笑的な)ファンで、彼女にファンアートを送ったり、“Mommy”という愛称で呼んだりしている。だが大半のフォロワーは、彼女のコンテンツが作り込まれたパフォーマンスアート作品か、それとも精神を病んだ女性が本当に危険な状況に置かれているのか、という熱い議論を戦わせている。そのため、彼女の動画のコメント欄は見事に2つに割れている。「この人が本当に心配。警察かセラピストがこの動画に気づいてくれるといいんだけど」というコメントもあれば、かたや「今日もステキ♡」というコメントもある。

@bonskinny

mecromancccy

♬ Great Milenko - Insane Clown Posse


BonnieはTikTokで急速に再生回数を伸ばしている、しばしば恐怖を煽る作品で創作と現実の境界を曖昧にする、最近流行りのジャンルの極端な例だ。50万回再生された投稿のひとつでは、ユーザーがガールフレンドと一緒にスキー場へ行くが、彼女が突然姿を消してしまう。戻ってきたとき、彼女は森の中で見た何かに怯えきってしまっている。場面は変わって真夜中。取り憑かれたように森へ向かう恋人を、ユーザーが追いかけていく(White Rabbit AppというこのTikTokアカウントは57万4000人のフォロワーを抱えているが、どうやら間もなく公開予定のアプリのキャンペーンの一環らしい。デジタルマーケティングではさして珍しくもない手法だ)。

Translated by Akiko Kato

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