TikTokで流行中の「ホラーみ」あふれる不気味な動画

Bonnieの意図

Bonnieがまさにそうだ。Bonnieのコンテンツは他のホラー系TikTok動画よりもかなり粗っぽい。声は子供っぽく、一貫性がないことも多いため、本当に精神を病んだ女性が重大な危険に巻き込まれているのではないかという印象を与える。Bonnieのコメント欄では「大丈夫?」というコメントは日常茶飯事で、警察かFBIに通報してくれ、というコメントも多く見られる。かたや彼女が何者なのか、普段は何をしているのか、と好奇心をかき立てられている者もいる。YouTubeではBonnieの正体や本人の主張に関する考察が飛び交い、デジタル探偵は必死になって手掛かり集めに奔走している。

最も納得のいく解釈は、ReignBotをはじめとする多くのビデオブロガーが唱えているように、Bonskinnyは今も続く身体のイメージや美しさの基準に関する問題を象徴している、というものだ。「少なくとも僕の思う“パフォーマンスアート”の条件を、Bonskinnyは全て満たしています」と言ってReignBotは、Bonnieのマスクを通して繰り返される主張や美への執着心を主な要因として挙げた。BonnieがTikTokで表現する作品にはこうしたテーマを扱ったものが多く、モデルの鼻に✕印をつけたコラージュ写真や、子どもの字体で書かれた「私をかわいくして」というメッセ―ジが何度も登場する。「大勢の女性たちが抱いている不安を表現しているんだと思います」とReignBotは言う。「彼女は自分を醜いと思っていて、それでマスクを被ってキャラクターになりきり、それを表現しているんじゃないでしょうか」

ReignBotはさらに、BonnieがInstagramで何度となく「仮面を脱いで」フォロワーと交流したり、ストーリーでファンの質問に答えたり、ファンアートを紹介している事実を指摘した。ファンと交流するときのBonnieは、TikTokでの衝撃的かつヒステリックな振る舞いとは対照的に、冷静沈着な態度で、不安定さや支離滅裂な印象とはかけ離れている。ReignBotが言うには、これらは全て「これが本当に現実ではないことを証明するには十分です――彼女の痛みや鬱は別にしてね。その点は現実だと思います――Bonskinnyはそうではありません」

RedditやInstagramにはBonnieを巡る噂が多々飛び回っている。その大半は彼女の投稿に散りばめられたイースターエッグや、様々な“ヒント”を寄せ集めたものだ。Bonnieからローリングストーン誌の取材依頼への返答がないため、噂の真偽を確かめることはできなかった。だとしても、彼女が自らの苦悩を元に美の基準について問題提起している、という説の方が、アカウントが仄めかす真相と謂われるものよりも、彼女のコンテンツにより真実味を加え、共感をかき立てる(いかがわしい監禁者が、精神不安定な捕虜にiPhoneの使用とTikTokのアクセスを許容している、という説よりも遥かに納得がいく)。

だが、こうしたプロジェクトにはよくあることだが、Bonnieも、アカウントが比較的短期間でかなりの注目を集めた要因はフィクションだと、本人自ら認めてしまった。現在は削除されてしまったが、先月投稿された一連のTikTok動画で、Bonnieは――比較的落ち着いた真面目な口調で――注目による疲労のため、しばらく投稿を控えるつもりだと言った。だがこの記事の掲載時には活動を再開しているようだ。先週、Instagramに尿と思わしきもので汚れたバスタブの底の画像が投稿された。助けが必要だ、というコメントも見受けられた一方、フォロワーの数を称える者も多く見られた。


Translated by Akiko Kato

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