さて、「愛と平和の歌」。この後は愛に向かっていきます。柳田ヒロで「乱れ髪」。
柳田ヒロ「乱れ髪」
国と戦争という大きなテーマの歌の後に、小さな小さなラブソングを並べています。この曲を選んだ理由が明確にありまして、作詞が松本隆さん、作曲が柳田ヒロさん。1973年のソロアルバム『HIRO』に収録されているんですが、はっぴいえんど、もしくは大滝詠一さんが好きな方はすぐお気づきになるかと思います。大滝詠一ソロアルバム『大滝詠一』の中に同じ詞があるんですよ。そちらは大滝さんの作曲なんですが、柳田ヒロさんの『HIRO』とその2作品は同じ日に発売されたんです。松本さんは2人に同じ詞を渡していた。まだ松本さんが作詞家になる前、はっぴぃえんどに在籍していた時代で、軽い気持ちで渡してしまったんでしょうね。そういう時代の一つのエピソード、その産物がこの曲だと思っていただければ面白いかなと思います。小さな小さな君と僕の歌、もう一曲聴いていただきます。遠藤賢司で「君のことすきだよ」。
「愛と平和の歌」の4曲目にザ・フォーク・クルセダーズの「ぼくのそばにおいでよ」も入れたんですけど、これもそういうタイプの曲ですね。小さな小さなラブソング。URCアルバムは大状況、世界がどう、世の中がどう、国がどうという大きなテーマを歌った曲と、この曲のように身の回りの小状況のことを優しく歌っているのと両方ある。それがメッセージソングとラブソングということに分けられるんですが、両方あるのが歌だと思うんですね。この頃は優しさの時代っていう風に言われてました。「神田川」に"あなたの優しさが怖かった"という歌詞がありますが、1970年代の優しさっていうのはそばにいる人に対する温かい歌っていうのが象徴していると思いまして、この曲を選んでおります。遠藤賢司さんは、大きなテーマと小さなの優しさの両方を持っていた方で、私はニール・ヤングみたいだなと思っておりました。