米国立アレルギー・感染症研究所の所長が語る、新型コロナが「史上最悪」の伝染病である理由

米コメディアンのトレバー・ノアと米国立アレルギー・感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士

米国立アレルギー・感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士が、2020年3月26日、コメディアンのトレバー・ノアがホストを務めるテレビ番組『The Daily Home Distancing Show』に出演し、コロナウイルスとその感染方法にまつわる誤解について解説した。

インタビューの冒頭でファウチ所長は、彼自身がこれまで経験してきたあらゆる医療的な緊急事態と今回のCOVID-19との違いと、彼が日々取り組んでいる伝染病との共通点について説明した。「(COVID-19は)呼吸器の疾患で人から人へ感染しやすく、罹患率も致死率も高い。不幸なことに同種のウイルスの中でも史上最悪な部類に入る」。

ファウチ所長曰く、コロナウイルスは感染拡大しやすく「知らない間に進行する」ウイルスのため、人との距離を取り(ソーシャル・ディスタンシング)、こまめに手を洗い、頻繁に触れる場所を消毒することの重要性を繰り返し主張した。さらに所長が強調したのは、梱包材やパッケージは問題ないということ。つまりそれらの表面でウイルスはそう長く生存しないようなので、スーパーで中国製品に触れても心配する必要がない、ということだ。

その他にファウチ所長は、最近ドナルド・トランプ大統領が強調している(所長自身は具体的に大統領を名指しした訳ではない)、危険性を含んだ2つの問題を挙げた。まずはコロナウイルスに有効とされる治療の話で、例えばトランプはマラリア治療薬のクロロキンをさかんに勧めたものの、多くの科学者は屈辱的な気持ちでその様子を見ていた。もうひとつは、パンデミックの状況を見直して15日以内に国民を通常の生活に戻そうとしている点だ(トランプ大統領は、4月12日のイースターまでに経済活動を再開させたいとしている)。

ファウチ所長によると、今のところ「コロナウイルスに対する安全、効果的かつ直接的な治療方法はない」といい、クロロキンなどの薬が効くなどという都市伝説だけが独り歩きしていると警告した(所長は、効果的な治療方法を見出すためのさまざまな試みが今正に実施されている点を指摘している)。

今後の展開についてファウチ所長は、伝染病次第だと述べている。「2週間経過すればOKだという声も聞かれるが、実際は感染拡大の速度論の問題だ」といい、「ひとつのサイクルを経験した他国の状況を見てみると、例えば中国では上昇して下降に向かうまでに8週間かかっている」と加えた。

インタビューの最後に所長は、米国政府と役所が力を合わせてパンデミックを乗り越えるためのさまざまな道がある、と指摘した。「国や地方レベルでさまざまな取組が実施されている。米国が上手く機能していることの現れだ。連邦政府はまとめ役、サプライヤー、サポーターとして物ごとを推進していくべきだ。そうすれば、当初からこれまで上手くできていなかった点を補えるだろう。まとめ役としての連邦政府と、現場で実際に行動するサポーターとの、国と地方レベルでの緊密な連携が最も重要だ」。

Translated by Smokva Tokyo

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