コロナ直撃、全米各地のライブハウスの声(写真ギャラリー)

LAのThe Roxy(Photo by Pooneh Ghana for Rolling Stone)

新型コロナウイルスとナッシュビルを襲った竜巻の影響で、アメリカのライブハウスは前代未聞の危機に直面している。各会場の写真とオーナーの声、そして支援方法をお届けする。

・2020年3月19日、オースティンにあるAntone’sの大看板(Photo by Charles Reagan Hackleman for Rolling Stone)


「ライブハウスの閉鎖で、この業界は追い打ちを食らった。ライブハウスのスタッフやプロモーターだけでなく、ミュージシャンやステージクルー、マネージメントチーム全員に影響が及んでいるからね」と言うのは、共同オーナーのウィル・ブリッジス氏。「うちのスタッフや専属ミュージシャンも、これからどうやって食べて行けばいいか困っている。音楽業界は浮き沈みが激しいけど、自分たちが好きな仕事だし、業界全員が大きなファミリーなんだ。今いちばん辛いのは、互いに身を寄せることすらできないってことだね」


・Antone’s店内(Photo by Charles Reagan Hackleman for Rolling Stone)


「俺は超楽観主義だけど、すべてのライブハウスが生き残れないことは覚悟している」とブリッジス氏。「Antone’sに関しては、他に選択肢はないよ。なんとかして続けていく。それが何より重要だ」


・Antone’sのステージ(Photo by Charles Reagan Hackleman for Rolling Stone)


「今のところは、想定外のことばかりやっているよ」と、コロナウイルスの影響についてブリッジス氏はこう言った。「数カ月先までライブをキャンセルしたり、スタッフが失業届の手続きをするのを手伝ったり、業者にしばらく営業を停止すると連絡したり――彼らにとっても痛いだろうけどね。あとは長期の営業停止に備えてバーを片付けたり、万が一強盗が入った時のために金庫を空にして開けておいたり、暴動対策として窓に板を打ち付けたり」

・空っぽのレジ(Photo by Charles Reagan Hackleman for Rolling Stone)


「何が一番恐ろしかって、いつになれば再び安心して集まれるようになるのか、知りようがないってことさ」とブリッジス氏は言う。「音楽はこの先も続く。だけど、そこに命を吹き込むのは人と人の交流のおかげなんだ。もう一度前のような状態に戻れたら、感謝の気持ちを忘れないようにしないとね」Antone’sのスタッフおよび専属ミュージシャンは、7月のオープン45周年に向けて準備中。支援はGoFundMeから。
https://www.gofundme.com/f/antones-45-for-45


・2020年3月21日、ナッシュビルのThe Basement East(Photo by Catherine Powell for Rolling Stone)


新型コロナウイルスが流行する数週間前、ナッシュビルの伝説的ライブハウスThe Basementの姉妹店を竜巻が直撃した。「竜巻でThe Basement Eastは崩壊されちまった」と、共同オーナーのマイク・グライムス氏は言う。「今は完全に再建モードだ。とても一筋縄じゃいかないだろうが、復活してみせるさ」


・The Basement Eastの共同オーナー、マイク・グライムス氏(右)とデイヴ・ブラウン氏。現地にて撮影(Photo by Catherine Powell for Rolling Stone)


「当面はThe Basement Eastの再建にとりかかる。それと、両方の従業員の職探しのサポート。営業を再開するまで、よそで仕事が見つけかるようにね」とグライムス氏。「将来的には、The Basement Eastが営業再開するまでにはナッシュビルも復活して、ライブミュージックシーンが前よりずっと盛り上がっていると思う。ご存知の通り、俺たちはしぶとい連中だからね」


・The Basement East跡地(Photo by Catherine Powell for Rolling Stone)


「今は自宅で仕事している。状況を整理したり、建物を再建したり」と、再建計画とコロナウイルス危機についてグライムス氏はこう語る。「少なくともあと6~9カ月はかかるだろうな」 支援方法についてはライブハウスのWEBサイトをチェック。
https://www.thebasementnashville.com/


・Brooklyn Bowl Nashvilleのサラ・バーネット氏(Photo by Catherine Powell for Rolling Stone)


Brooklyn Bowl Nashvilleの総支配人。クラブにて。


・2020年3月20日、竣工前のBrooklyn Bowl Nashville(Photo by Catherine Powell for Rolling Stone)


今月オープンの予定だった。「奇妙な感じだね、まるで時が止まったみたいだ」と言うのは、ベテランプロモーターでBrooklyn Bowlの共同オーナー、ピーター・シャピロ氏。ニューヨーク州ポートチェスターにあるThe Capitol Theatreの改築責任者でもあった。「24年間、毎晩欠かさずショウを企画してきた。The Capitol Theatreは94年間毎日営業している。この業界では舞台に穴をあけることなど論外だし、私のモットーにも反する」


・Third Man Recordsでのベン・スワンク氏(Photo by Catherine Powell for Rolling Stone)


Third Manが所有するライブ用スペースにて、共同オーナーのベン・スワンク氏。ここではコロナウイルスによりパフォーマンスをライブストリーミングしていたが、ナッシュビル市長が「自宅待機」命令を出したため、中止せざるを得なかった。


・ナッシュビルのThird Man Records(Photo by Catherine Powell for Rolling Stone)




・オースティンのThe Continental Club(Photo by Charles Reagan Hackleman for Rolling Stone)


「一番大変なのは、75人のスタッフに『これからどうすればいいんだ?』という問いの答えを見つけて、彼らをできるだけ金銭的にサポートすること。そのためにありったけの金をかき集めてるところさ」と言うのは、オーナーのスティーヴ・ワートハイマー氏。「いよいよSXSWっていう時期で、フェスティバルの2週間でどれだけみんなが――従業員、制作会社、ライブハウス、(ある程度は)ミュージシャンも――ご利益にあずかれるかよくわかるから、中止になったことで誰もが不安を抱えている」


・The Continental Clubでのスティーヴ・ワートハイマー氏(Photo by Charles Reagan Hackleman for Rolling Stone)


サウス・バイ・サウスウエストが中止になったのを受け、The Continental Clubは慌てて年間スケジュールを組み直した。だがそれも無駄骨になった、とワートハイマー氏。「我々にとって3月と4月は1年のかき入れ時なんだ――4月には最大級のヴィンテージカー・ショウ/ミュージックフェスティバル「ローンスター・ラウンド・アップ」が開催されるんだが、それも今年は延期になった――客足が鈍る夏を乗り切るために宛てにしていた収入が、ぽっかりなくなってしまったのさ」


・The Continental Clubの壁にかかったコード(Photo by Charles Reagan Hackleman for Rolling Stone)


「ライブストリームとかをライブハウスでやるのも一苦労なんだ。ストリーミングをやるために必要なごく限られた人数のスタッフを集めるのも危険だからね」とワートハイマー氏。「そうなると、もうお手上げだよ」


・The Continental Club(Photo by Charles Reagan Hackleman for Rolling Stone)



「ファンやサポーターの助けを借りて、なんとか持ちこたえて騒動を凌ぐことができたら、安全が確認され次第すぐにでも営業を再開するつもりだ」とワートハイマー氏。「うちは小さいハコだけど、大きな名声と歴史がある。誰もが一生に一度は訪れたいライブハウスなんだ」


・The Continental Clubの看板(Photo by Charles Reagan Hackleman for Rolling Stone)


「ミュージシャンに関して言えば、ぜひ彼らのサイトにアクセスしてグッズを購入してやってほしい」とワートハイマー氏は言う。「もっといい方法は、先々にプライベートコンサートを企画して、ミュージシャンに前金を払ってやってくれ」 クラブの従業員向けの支援は「オンライン・チップ」で受付中。
https://continentalclub.com/closed

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Translated by Akiko Kato

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