ボブ・ディラン、8年振りの新曲「マーダー・モスト・ファウル」は17分に及ぶ大作

ボブ・ディラン(Courtesy of ソニーミュージック)

4月の日本ツアーが中止となってしまったボブ・ディランが、3月27日(金)に新曲「マーダー・モスト・ファウル」のデジタル配信を開始した。これは2012年に発表されたアルバム『テンペスト』以来となる自作曲で、ブートレッグ・シリーズや来日記念盤を除くと8年振りとなる新作の発表だ。

ディランが2016年12月にノーベル文学賞を授与されてから初の書下ろしとなる楽曲が発表された。かつてない17分にも及ぶ物語性あるこの曲のタイトル「マーダー・モスト・ファウル」とはハムレットに登場するフレーズ。2012年作『テンペスト』はシェイクスピアの最後の作品『ザ・テンペスト』と同じタイトルであり、ノーベル文学賞受賞時やMusicare Person Of The Yearでも彼はシェイクスピアについて語っている。

第35代アメリカ合衆国大統領であるジョン・F・ケネディの暗殺から始まるこの歌は、主に六十年代に起きた数々の出来事や時代を彩ったミュージシャン、曲名をコラージュ風に投げかける。ディランの訥々と物語を紡ぐように繰り広げるヴォーカルは静かで穏やかながら揺るぎがない。ジャケットに使われた大統領執務室で写るジョン・F・ケネディは、1961年1月に43歳で大統領に就任し、1963年11月にテキサス州ダラスで暗殺される。僅か3年にも満たない在任中、東西冷戦、ベトナム戦争、公民権運動、宇宙開発競争など数多くの難問を背負っていた。彼にはマフィアやマリリン・モンローとの噂などもつきまとったが、何よりも平和への希求が高く今でも人気を誇る大統領で、彼に関する数多くの映画や書物が生まれ、度重なる検証にもかかわらず暗殺された背景は今でも謎に包まれている。そんな短くも波乱に富んだケネディの、血に染まった暗殺事件からこの歌は始まる。

ボブ・ディラン コメント
「私のファンと熱心なフォロワーの方々へ、長年のご支援とご献身に感謝を込めて挨拶致します。この度公開するのは以前録音した歌で皆さんに興味を持って頂ける未発表曲です。どうぞ安全に過ごされますように、油断する事がありませんように、そして神があなたと共にありますように」


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