新型コロナを歌う楽曲が一大ビジネスへ

(Photo by GettyImages)

先週、新型コロナウイルスに関連する楽曲がスペイン語圏のSpotifyバイラルチャートで急浮上した。手洗いと消毒液の使用をリスナーに呼びかける楽曲など、コロナ・ソングが音楽チャートを席巻か?

新型コロナウイルスの感染拡大とともに、今週ラテンアメリカ中で次の3曲の注目度が一気に上がった。Mister Cumbiaのブラスセクションが印象的な「La Cumbia Del Coronavirus」、Kaseenoのハードな「Coronavirus」、Yofrangel & Fragaの大胆な「Corona Virus」が複数の国のSpotifyバイラルチャートで好調なパフォーマンスを見せているのだ。

なんとも奇妙な状況だ。どうしてわざわざ、世界を脅かす恐ろしいパンデミック(世界的大流行)にわざわざ目を向けさせようとするんだ? だがその一方、この状況は現代のリスニング習慣を的確に象徴している。ほぼすべてのものが簡単にアクセスできる現代社会では、音楽的な興味はどんなものからも生まれるのだ。想像力の乏しい音楽ファンがカレンダーとにらめっこしながら毎年秋になるとアース・ウインド & ファイアーの「セプテンバー」とグリーン・デイの「ウェイク・ミー・アップ・ホウェン・セプテンバー・エンズ」を聴くおかげで、この時期はこうした楽曲の再生回数がかなり伸びる。なぜって? どちらも「9月」を連想させるから。毎年12月にマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」が音楽チャートで人気ナンバー1になるのと同じように。

アーティストは、こうした傾向を十分理解した上で作曲プロセスに取り組んでいる。話題の時事ネタにまつわる曲を作っては、再生回数を伸ばそうと必死なのだ。「『どうすれば自分の曲にクリックしてもらえるか?』という思考が作曲プロセスに強く影響します」とプロデューサーの“オーク”ことウォーレン・フェルダー氏は昨年語っていた。当時、米ファーストフードチェーンのポパイズ・ルイジアナ・キッチンとチックフィレイが自社で提供するメニューの品質をめぐってメディアでバトルを繰り広げた例を取り上げながら、フェルダー氏は次のように続ける。「誰かが『ポパイズ・チキンサンドイッチ』という曲を書いたとしても、驚きませんね」。

Translated by Shoko Natori

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE