殺されたセックス・セラピスト、ハリウッドの光と影に翻弄された人生

アワード会場でパースハウスと再会

LA時代、ハーウィックさんは数々のミュージシャンやセレブリティと浮名を流した。だが、『ザ・プライス・イズ・ライト』の司会を務めた61歳のコメディアン、ドリュー・キャリーとの関係は特別だった。2人は共通の友人である『フルハウス』のプロデューサー、ジェフ・フランクリン氏を介して知り合ったが、彼は正真正銘の「ナイスガイ」で、彼女の歴代の元カレとは似ても似つかなかった、とコシュランド氏は言う。「彼女がドリューと付き合い始めた時、みんな『ああ、ようやくいい人を見つけた』と思いました」 。ところが2018年後半、キャリーとハーウィックさんは破局。別れた理由について友人たちは、2人はコミュニケーションのやり方が違っていた、という以上は何も言わなかったが、ハーウィックさんは相当落ち込んだようだ。「あんなにボロボロになって苦しむ彼女の姿は、めったに見ませんでした」とチャベス氏も言う。キャリーの広報担当者はローリングストーン誌にメールを送り、取材には応じるつもりがないと伝えた。2月17日、彼はTwitterにハーウィックさんと写った写真を掲載し、こうツイートした。「一生に一度、彼女のように自分を心から愛してくれる人と出会えたら、それだけで十分幸せだと思います」

2020年1月17日、ハーウィックさんは風俗業界のカンフェレンス兼授賞式、Xbizアワードに精神医療とカウンセリングのゲストとして参加することになった。彼女の参加は土壇場になって決まった。Pineapple Supportの別のメンバーが参加を辞退し、ハーウィックさんが喜んで代打を引き受けたのだ。彼女がチャベス氏とレッドカーペットを歩こうとしたその時、パースハウスの姿が目に入った。彼もまたカメラマンとして参加していた。後日ハーウィックさんはチャベス氏とコッシュランド氏に事情を打ち明けた。2人の話では、パースハウスはかなり取り乱し、「この偽善者め」「さんざんコケにしたくせに」と叫んでいたそうだ。最後に顔をあわせてからほぼ10年ぶりの再会だった。

パースハウスが騒ぎ出した後、ハーウィックさんは「セラピストモードに入るわね」と言って、場を収めるべく席を立った。トイレ脇のベンチに2人が腰かけて話し合う間、チャベス氏は列に並んでレッドカーペットの順番を待っていた。「彼は両手を振り回していました」とチャベス氏。「怒り、苦悩、心痛がはっきり見て取れました」。その後、パースハウスは授賞式の最中に2人のテーブルにやってきて、ハーウィックさんと会話の続きを始めた。彼女はまた席を立ち、会場内で彼と座って話をした。チャベス氏が知る限り、最初の騒動のときにXbizの警備員は介入してこなかったそうだ。Xbizアワードの運営側は声明を発表し、こう述べた。「ギャレス氏は優秀なカメラマンで、今回の授賞式で取材申請を認められたマスコミ関係者の1人でした。授賞式では、ゲストの安全確保のためにセクリティスタッフを配置しています。今年は26人のスタッフを配置しました」

授賞式の後、疲労困憊したハーウィックさんは、ディナーの席でチャベス氏に一部始終を打ち明けた。チャベス氏によると、2人は警棒かペッパースプレーを購入すること、ドアの錠を変えることなどを話し合った。警察に相談しようという話も出た。チャベス氏は彼女の家に一晩泊ろうかと申し出たが、ハーウィックさんは、新しいルームメイトがいるから大丈夫よ、と言って申し出を退けた。後日ハーウィックさんは、警棒とペッパースプレーを買って、管理人に新たな錠をつけてもらった、とチャベス氏に言った。「彼女は自分の身を守るために必要なことはなんでもやっていたと思います」と彼は言う。「まさかあそこまで思いつめてたなんて、思いもしませんでした」

Translated by Akiko Kato

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