レコード店やレーベルに大打撃、音楽業界で起きている流通システム破綻の実情

メジャーレーベル3社は昨年4月から、CDとレコードの流通をある同一のディストリビューターに任せるようになった。しかしその決定が、商品の紛失や管理ミス、そして深刻な納品遅延といった結果を招いている。(Photo by Nikolas Joao Kokovlis/Sopa Image/Shutterstock)


本誌はDirect Shotにコメントを求めたが、先方からの返事はない。しかし、昨年夏に交渉の末Direct Shotを買収した在庫管理および物流に特化した企業、Legacy Supply Chain Servicesのマーケティング&コミュニケーション部門を仕切るKyle Krugは、同社がDirect Shotの流通システムを再編成するために「多大な投資を行った」と主張している。

Krugによると、既に何百万ドルもの費用をかけているというLegacy Supply Chain Servicesの取り組みには、「回収が容易な場所で膨大な量の商品を保管すること」や、「一流のサプライチェーンコンサルタントを雇い、優れた商品管理システムを新たに確立する」ことなどが含まれているという。Direct Shotの在庫管理システムは現代の音楽業界のニーズにかなっていなかったのかという問いに対し、Krugはこう答えた。「そういうことになります」

しかしDirect Shotが現在でもうまく機能していないことから、関係者たちの多くはLegacyによる「改革」の効果についても疑念を抱いている。レコード・ストア・デイの共同考案者であるMichaerl Kurtzはこう語っている。「まともなディストリビューターは、長くても1カ月か2カ月のうちに問題を解消するものだ。それでも長すぎるくらいさ」

さらにKurtzはこう続ける。「彼らは問題を解決できていないし、その見込みもない」

流通業務をサードパーティーの企業に委託していたメジャー3社は、現在打つ手がほとんどない状況に陥っている。「Direct Shotのような会社は他にないんだ」Krugはそう話す。「ニッチなビジネスだから寡占状態なんだよ」

各販売店によると、UniversalはDirect Shotへの負担を軽減するため、一時的に流通業務の一部を他に回しているという。また同様の目的で、最近メジャー3社は小規模なレコード店との直接取引を停止した(店によっては過去数週間のうちにSonyと取引をしたところもある)。各販売店は仲買人となる流通業者を通すしかない状況だが、それは商品の値上がりに繋がっている。ある2人のレコード店経営者によると、メジャーレーベルはかつて直接取引をしていたショップには仲買業者によるディスカウントを適用させることで、コストをできる限りニュートラルに保とうとしているという。

正常な状態には程遠いにせよ、販売店の中には商品の発注と入荷をめぐる状況は改善されているとしているところもあるが、多くはその変化を実感できていない。「最近お気に入りのジョークがあるんだ。『切り落とした部分には絆創膏を貼っとけ。どうせ痛くなもなんともない』っていうやつさ」オースティンのレコード店Waterloo RecordsのJohn Kunzはそう話す。

Translated by Masaaki Yoshida

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