ハーヴェイ・ワインスタインの有罪評決を徹底解説

2020年2月24日、陪審評議を受けにNYマンハッタン裁判所に現れたハーヴェイ・ワインスタイン被告(Photo by Seth Wenig/AP/Shutterstock)

米ニューヨークの陪審は元ハリウッドプロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン被告に、女性2人を巻き込んだ2つの凶悪性犯罪事件--第1級性犯罪と第3級強姦罪--で有罪判決を言い渡した。しかし陪審は他3件のさらに凶悪な告訴内容--2件の性的暴行罪と1件の第1級強姦罪--については無罪を言い渡した。

評決文が読まれた後、裁判長を務めたジェームズ・M・バーク判事は量刑が言い渡される3月11日まで、ワインスタイン被告は拘置所に入れられると発表し、現在ニューヨーク市のライカーズ島に収容されている。一方、ワインスタイン被告の弁護団を率いるドナ・ロトゥンノ氏は記者会見で「必ず上訴する」と述べ、「戦いはまだ終わっていない」と付け加えた。今日の評決と、これから行われるロサンゼルスでのワインスタイン被告の裁判について知っておきたいことは以下の通りだ。

ワインスタイン被告の告訴内容

67歳のワインスタイン被告はニューヨーク市で5件の性犯罪について起訴されていた。2006年に『プロジェクト・ランウェイ』の元制作進行のミリアム・ヘイリーさん(以前は「ミミ・ヘイリー」という名で通っていた)に対し口淫を強制したとして第1級性犯罪、そして2013年に女優のジェシカ・マンさんをホテルに連れ込み、レイプしたとして第3級強姦罪で有罪判決を受けた。ニューヨーク州では、第3級強姦罪には17歳以上の相手から同意を得ずに、または意思表示をできない状態で強制的に性交に及ぶことが含まれる。第1級性犯罪で有罪になると5年から25年の禁固刑、第3級強姦罪では執行猶予、または最長4年の禁固刑が言い渡される。

しかしワインスタイン被告は起訴された5件のうち、3件について無罪放免となった。まず、ヘイリーさん、マンさん、そして『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』のアナベラ・シオラさんが告発した2件の性的暴行について無罪となった。ニューヨーク州では、性的暴行罪は第一級強姦罪や第1級性的暴行のような性犯罪に加え、犯行の最中もしくは犯行後に深刻な怪我を負わせる他、凶器の使用または使うと脅すことを指す。

ワインスタイン被告はマンさんに性的暴行を加え、レイプしようとした第1級強姦罪についても無罪を言い渡された。ニューヨーク州では、意思表示をできない状態、11歳以下、または被告が18歳以上の場合13歳以下の相手と強制的に性交に及んだ場合、第1級強姦罪で有罪になる。

ヘイリーさん、マンさん、シオラさんに加え、ドーン・ダニングさん、タレル・ウルフさん、ローレン・ヤングさんの3名も証言台に立った。検察の話によると、彼女たちの証言はワインスタイン被告のこれまでの犯行歴を示すために許可された。

2017年以降、少なくとも100人の女性たちがワインスタイン被告を、レイプを含む性犯罪で告発してきたが、ほとんどがニューヨーク州とカリフォルニア州の両方で時効が成立してしまい、裁判には至らなかった。ワインスタイン被告は繰り返し告発内容を否認してきており、裁判中もロトゥンノ氏は、告発した女性たちはエンタメ業界での自分たちの地位を上げるために同意の上で被告と性交に及んだと反論した。

Translated by Mika Uchibori

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